メニュートレンド:タコがない!たこ焼き屋 「おがた焼き もつ焼き」
一風変わったたこ焼き屋が名古屋にある。タコが入った一般的なたこ焼きはメニューにない。では、何が入っているのか–中身はタコではなく、牛モツや鶏の照り焼き、アスパラベーコンなど9種類の具材が、たこ焼き生地に入っている。名前は「おがた焼き」といい、考案者で社長の小縣一輝さんの名字をつけた。2008年に出前とテークアウトの店を地下鉄伏見駅近くに開業。2010年には、イートインでも味わえるよう繁華街である中区錦3丁目に移転した。
◆人気No.1は、もつ焼き トロトロ、フワフワジューシーな食感
「業界初、たこ焼きのない、たこ焼き屋」というキャッチフレーズの「おがた焼き」。おがた焼きの最大の特徴は、たこ焼きの生地にオリジナルの具材が入り、トロトロ、フワフワ食感で味わえることにある。
オリジナルの具材とは、モツやイカゲソ焼き、カリカリベーコンアスパラなど。一番人気は、同店の看板メニューでもある「もつ焼き」(6個600円)。次に「チーズベーコン」(6個680円)、そして「えび焼き」(6個600円)と続く。100種類以上の具材で試作した結果、現在の9種類に(前述の他に、照り焼きチキン、クリーミーチキン、シーフード、じゃがバター)に落ち着いた。
開業した頃は、「てっぱんやき たこやき おがた」という店名で、たこ焼きも商品にあった。
しかし、社長の小縣さんは、人と同じことをやることに抵抗を感じ、最も人気だったたこ焼きをなくす決断をする。そして、現在のような独自の道を歩み出した。「家庭でたこ焼きを作るときは、チーズやコーンなど自由に入れて作る。あったら面白いだろうなということを、本気でやっただけです」と語る。
もともと小縣さんは、元プロボクサー。全日本スーパーフライ級1位、WBC世界ランキングでも16位と活躍していた。しかし、けがのためボクシングを引退。数年後、飲食業に打ち込むことを決意し、店をオープンさせた。
イートインできる錦店は、おがた焼きの他にも、お好み焼き、肉や魚介、野菜の鉄板メニューなどを揃えている。また、「飲食店はエンターテインメント」という考えを貫き、お客さまにおいしさだけでなく、楽しい時間を味わってもらいたいと、ホッとする空間づくり、サービスまで全てに気を配る。店内は、明るめのジャズ系音楽が流れ、アメリカンテイストを取り入れた内装だ。女性1人でも入れる、温かい雰囲気を醸し出す。
小縣さんは、飲食の世界に飛び込んだとき、職人技を必要としないで作れるおがた焼きで、「世界を目指そう」と決意した。「10年後の夢は、ニューヨークに店を出すこと」と熱く語った。
◆店舗情報
「おがた焼き」 経営=(株)パブリックス フード オガタ/店舗所在地=愛知県名古屋市中区錦3-13-5、電話052・951・1515/開業=2008年7月/営業時間=午後6時~翌4時、日曜定休/坪数・席数=約14坪・20席/平均客単価=店内・デリバリーともに2000円
◆愛用資材・食材:「牛モツ」
(有)栄大 名古屋市千種区千種1-22-17
おがた焼きのもつ焼きに入っているモツは、栄大の三代目・藤村将之さんの目で選んだ、臭みのない国内産のプリプリ食感の牛モツを使用している。牛モツ以外の鶏肉なども同社から購入しており、厳選した素材をリーズナブルな価格で仕入れられるのが特徴という。もつ焼きが人気No.1である秘訣は、上質のモツにあると、おがた焼き社長の小縣さんは語る。栄大の藤村さんには、肉以外の素材の相談にも乗ってもらっているほどの信頼を寄せている。