業務用加工食品ヒット賞 和食部門:ミツカン「やさしいお酢」

2011.07.04 388号 04面

 ◆“ツンとこない”切り口

 1804年創業のお酢のリーディングカンパニーであるミツカンは、約200年の歴史の中でさまざまなお酢の製品を販売してきた。2010年に発売した「やさしいお酢」は“ツンとこなくて、使いやすい”というお酢としては今までになかった切り口で誕生した新しいタイプのお酢だ。

 先行して09年に発売した同品質の家庭用商品(360ml)は、累計で1200万本を出荷し、すっかり家庭で定着している。好調の要因は、かけるだけの簡便性と、比較的酸味が苦手な男性や子どもも食べられるやさしい酸味で取り込めたことだ。

 業務用における定番の穀物酢などはその酸味を抑えるために「煮切り」を行うユーザーがいる中、やさしいお酢はかけるだけでも酢の物や、あえ物ができるため、その簡便性が忙しい業務用ユーザーに評価されている。

 実際のユーザーで使用されている例として、居酒屋では酢の物、あえ物などの1品料理、付き出し、うどん店における夏向けの冷やしうどんつゆ、給食ではサラダなど幅広い業態やメニューで使用されている。ユーザーからは「かけるだけでちょうどよい酸味が表現できて便利」「揚げ物にかけるだけでさっぱりしてたくさん食べられる」と、簡便性の高さで引き合いが多くなっている。

 また、評価されるもう一つの要因は味のバランス。程よく配合された酸味、甘味、塩味、かんきつ果汁のバランスがよいため、やさしいお酢をベースに手持ちの調味料や香辛料を加えていろいろなお店のオリジナル調味料を作る利用者も多く見られる。

 ホテル業態ではやさしいお酢をベースとしたドレッシングや、ソースに使用されている導入事例を見てもその汎用性の高さがうかがえる。

 製品開発の経緯は、ユーザーのお酢に関する不満点を調査したところ、「お酢を使ったメニューは調理が手間」「酸味が強いと利用客に受け入れられない」といった不満点が多いことが判明したことから。そこで酸味がツンとこない点が評価されているやさしいお酢を業務用サイズで発売し、プロが手をかけずにできるメニューを中心に、プロモーションを展開してきた。

 今後は手持ちのやさしいお酢をより多くのメニューに使えるよう、新しいメニュー開発にも注力していく。例えば家庭用のテレビCMで放映していた“唐揚げにお酢”にヒントを得たさっぱり味の“唐揚げトマトマリネ”や季節感が演出できる“鮭と茄子の揚げ漬けあえ”など従来の使い方を超えたメニューを開発していく。

 ◆規格=1リットル/8

 ◆鶏から揚げのやさしいトマトマリネ

 作り方/(1)「やさしいお酢」に、5mm角に切ったトマト、スライスした玉ネギをあわせておく。(2)唐揚げを揚げて(1)を絡めたら、リーフレタスを敷いた器に盛り付け、ちぎった青ジソ、スライスしたレモンを飾る。

 ◆鶏肉のゆず胡椒焼きマリネ風

 作り方/(1)鶏もも肉は観音開きにし、身にユズコショウを塗り、網焼きにしてから、食べやすい大きさに切っておく。(2)ボウルにざく切りの貝割れ菜と、「やさしいお酢」を入れて軽くもみ、しんなりしたら器に敷いて、(1)の肉を盛る。

 ◆鮭と茄子の揚げ漬けあえ

 作り方/(1)生ザケは削ぎ切りにして醤油、酒で下味を付け、片栗粉をまぶして揚げ、ナスは皮に切れ目を入れて食べやすく切って素揚げする。(2)揚げたての(1)、細めの乱切りにした赤・黄パプリカ、千切りにしたショウガを「やさしいお酢」であえて30分ほどおき、器に盛り付けたら木の芽を散らす。

 ◆柔らか葱とたこのやさしい酢のもの

 作り方/(1)長ネギは縦半分に切って5mm幅の斜め切りにし、塩少々を入れた熱湯で3~4分軟らかくなるまでゆでる。(2)タコはスライス、赤・黄パプリカは千切りにしておく。(3)「やさしいお酢」を(1)、(2)にかけて30分以上おいて器に盛り付けたら、イクラ、セルフィーユを飾る。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

関連ワード: Mizkan