ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(93)抹茶バー 抹茶ドリンク専門店NYにオープン
◆健康志向ブームに乗ってアメリカに広がるグリーンティー
ニューヨーク初の抹茶ドリンク専門店、「抹茶バー」がブルックリンのウィリアムズバーグにオープンした。「グリーンティー=ヘルシー」をうたって、西尾の農家から直輸入した抹茶を使い、オリジナルの抹茶ドリンク数々を揃えている。アメリカではまだ浸透していない抹茶を使ったドリンクは、メディアからも注目を浴び、トレンディーなウィリアムズバーグの一角に新風を巻き起こしている。(外海君子)
●ティー(茶)への関心高まるアメリカ人
同店を経営するのは、マックスとグレアム・フォートギャング兄弟。偶然出合った抹茶にはまり、普通ならば愛飲者で終わるところが、日本まで行って抹茶農家を探し当て、抹茶専門店をオープンするに至った。
コーヒー好きのアメリカ人も、最近は、ティー(抹茶や緑茶だけでなく、紅茶、ハーブティーなども含まれる)への関心が高まっている。ティー専門のチェーン店も各地に出来つつあり、スターバックスも「ティヴァーナ」というティー・ラインをスタート、力を入れている。また、スーパーやドラッグストアでも、いろいろなフレーバーのティー・ドリンクがたくさん売られている。
●ヘルシーな抹茶でニューヨーカーを元気に
そんな中、オープンしたNY初の抹茶専門店の同店。同店が強調するのは、含まれるカテキンの抗酸化作用など、抹茶のヘルシーさ。「ニューヨーカーに抹茶でやる気と元気を」がキャッチフレーズだ。
市販のティー・ドリンクはすでに甘味が加えてあるが、同店では甘味はいっさい付けておらず、客に好みで入れてもらうことにしている。また、ソイミルク、ヘンプミルクなどノンデイリーの代替ミルクのオプションも揃えている。
同店の準備中、グレアムさんは、ミルクシェイクの機械を使って抹茶を立てる夢を見たと言う。その、夢のお告げで出たマシーンがカウンターに備えてある。これで抹茶をガーッと立てるのである。茶せんや茶せん立てなど抹茶関連の道具も売っているが、茶せんの使い方に慣れないアメリカ人のために、ポータブルのミルクフローサー(ミルク泡立て器)も売っている。
●豊富なドリンクメニューの他、抹茶の販売も
さて、同店のメニューは、抹茶ショット、アイスト・マッチャのほか、マッチャラテ、マッチャチーノ(抹茶版カプチーノ)、マッチアート(抹茶版マキアート)など、コーヒー各種の抹茶版が揃っている。店の一押しは、バニラ・アーモンド抹茶ラテ、シナモン・ヘンプ抹茶ラテ、そしてフレッシュミント抹茶。これらはすべてホットとコールドの選択ができる。夏場は、キュウリやスイカのジュースを加えた冷たい抹茶ジュースが、さっぱりした清涼感があって人気だ。
1杯の値段は、税を含めて、115円のレートで換算すると、400円から700円程度で高い。が、スターバックスやフルーツジュースの専門店が、1杯6、7$もする飲み物を提供するようになり、人々の財布の紐はゆるくなった。ヘルシーな抹茶にノンデイリーのミルクを泡立てて加えた、手間暇かけた飲み物は、飲むという経験を特別なものにしてくれる。抹茶を直輸入している西尾の農家は、茶畑の一部を同店だけのために用意して栽培しているという。
同店では、抹茶そのものも缶入りで販売している。「クラシック抹茶」が22$、「プレミアム抹茶」が30$。どちらも30g入り。缶は、オーストラリア出身のイラストレーターによるポップなデザインだ。
抹茶を使ったケーキやクッキーなどのスイーツも、近くの日本人が経営するスイーツショップから取り寄せて揃えている。
●人気メニュー5
「シナモン・ヘンプ抹茶」 4$60¢(8オンス)、5$25¢(12オンス)
「アイスト抹茶」 3$25¢(12オンス)、3$80¢(16オンス)
「アイスト・キュウリ抹茶」 4$60¢(12オンス)、5$25¢(16オンス)
「バニラ・アーモンド抹茶」 4$60¢(8オンス)、5$25¢(12オンス)
「抹茶ショット」 3$25¢(4オンス)
●事業データ
抹茶バー(Matcha Bar)/所在地=93 Wythe Avenue Brooklyn New York/開業日=2014年9月/営業時間=月~金 午前8時~午後7時、土・日 午前10時~午後7時/席数=25/総面積=1,000平方フィート