料理人の愛用食材:「料亭千代田」中村壮一料理長 ヤマサ醤油「ヤマサ重ね仕込しょうゆ本懐石」
●軟らかで安定した味わい コクが旬の風味を引き出す 非加熱で高レベルの味わいを
百花園を有し、隅田川東岸に沿って都内でも美しい自然があふれる墨田区向島。江戸時代からの花街文化を今につなぐ、料亭の一つに「千代田」がある。中村壮一料理長は醤油にも独自の意匠を凝らして和食を進化。濃口醤油に米麹を入れて寝かし、自在に味わいを調整する。江戸初期創業のヤマサ醤油の最高峰「重ね仕込しょうゆ本懐石」を評してもらった。
中村氏は「本懐石」を「うま味や甘味があって濃厚。全体の味わいが軟らかく、安定している」と表現。濃厚なたまりや再仕込みに比べ、色がうすくて使い勝手も良い。香りは穏やかで食欲をそそり、高い商品力を生かすには加熱せず使うべきと提案する。
お造りは白身・赤身ともに合い、季節の野菜は塗って焼くだけで「本懐石」のコクが旬の風味を引き出す。お吸い物なら配膳前に数滴垂らせば味わいが決まる。塩カドが立たないので炊き合わせにも最適。金目鯛やキンキ、ノドグロなど色合いを生かしたい煮魚にも相性が良い。三升漬けに使えば発酵した唐辛子と麹の味わいを、均整の取れた「本懐石」が受け止めて広げる。
中村料理長が提供するのは、吟味した食材に極力手を加えず、素材本来の味わいが楽しめる料理。調味料も同様で「本懐石」なら、工程や他の調味料を減らし、食材とのバランスを引き出すのが重要とする。「本懐石」は研究・開発に10年以上をかけたヤマサの自信作。今後もさまざまな料理人の創作意欲をかき立ててくれそうだ。
●商品紹介
「ヤマサ重ね仕込しょうゆ本懐石」 ヤマサ醤油(千葉県銚子市)
うま味が濃く彩り鮮やか
うま味の目安となる窒素分が一般的な醤油より20%多い超特選醤油。3種類の麹を使う「重ね仕込:追い麹製法」(特許取得)によって、やわらかな香りと明るく澄んだ色、強い甘味、濃厚なうま味を引き出している。
規格=1.8L×6
●プロフィール
「料亭千代田」 中村壮一(なかむら・そういち)料理長
1967年東京都生まれの49歳。18歳で日本料理人を志して修業を重ね、27歳の若さで料理長就任。33歳から「料亭千代田」の料理長を務め、京懐石の伝統を継承し、自由な発想で和食の本質を追究している。
●店舗情報
「料亭 千代田」 東京都墨田区向島5-20-13