2022年1月度、外食動向調査 フードコンサルティング

2022.04.04 518号 05面

 ●前年比ではプラスに

 日本フードサービス協会によると、1月度の売上げは前年比12.2%増となった。昨年1月は、2回目の緊急事態宣言で売上げが大きく落ち込んだため(2021年1月前年同月比21.0%減)、そこからは若干回復したものの、コロナ前の2019年1月比では全体で11.5%減となっている。

 各チェーン別に見ても、2020年比のために見かけ上は好調な数字となったが、低い水準からのかさ上げ的な面は否めないだろう。

 実際、年明けは個人客や家族客が一気に増えたものの、オミクロン株の感染者急増により、1月9日以降は各地でまん延防止等重点措置が適用されることとなり、1月上旬と中旬以降では、状況がまったく変わってしまった。

 ●不振チェーン、復活の兆し

 今号は、不振が続いていたチェーンの「復活の兆し」をお伝えしたい。表をご覧いただきたいのだが、各業態別に見ていくと、「和食」では「木曽路」「うかい」「梅の花」のいずれも会食や接待に強い業態が直近3ヵ月(11月~1月)連続で前年超えとなり、13ヵ月平均でも、ほぼ100%超えとなっている。

 居酒屋業態とともに、コロナ禍初期より業績が落ち込み続けていた会食・接待系の業態が復活の兆しを見せており、コロナ影響の落ち着きも近いのではと感じさせる。

 同様に、「ラーメン」では、値上げによるマイナス影響が続く中でコロナ禍に突入した「リンガーハット」や、上場後の急速な出店攻勢のひずみなどにより業績低迷が続いていた「力の源HD(一風堂)」も、直近3ヵ月(11月~1月)連続で前年超えとなり、13ヵ月平均でも「リンガーハット」は100%超え、「力の源HD」も98%まで戻してきている。

 「ステーキ」では、あの「いきなり!ステーキ」と老舗「あさくま」も、12月~1月と2ヵ月連続で前年超えとなった。特に「いきなり!」は、不採算店舗の閉鎖がピークを過ぎ、消費者から厳しく指弾されていた品質劣化の問題も徐々に解消に向かっていることが、プラスに働いているのではなかろうか。

 商品構成が近い「FR」の「SRS(和食さと)」と「うどん・そば」の「サガミ」も、会食需要が徐々に回復の中で、年末から年始の繁忙期の需要をうまく取り込み、12月~1月はいずれも100%超えとなった。

 ほかにも、コロナ前は業界の優等生的な立ち位置にありながら、コロナ禍が始まって以降はすっかり影が薄くなっていた「チムニー」と「鳥貴族」も、年末年始の繁忙期を逃すことなく、ようやく前年超えを達成した。高級業態では、創業者との裁判沙汰の最中にコロナ禍が直撃した「ひらまつ」も、緊急事態宣言が解除となった10月以降、4ヵ月連続で前年を上回り、回復基調が続いている。

 まだ油断はできないものの、3月21日までの「まん防」が全国的に解除されることに加え、春休みや春の行楽シーズンを迎えるこれから、いかにお客さまに戻ってきてもらうか、お店を選んでもらえるかの工夫が回復の行方を左右するであろう。少なくとも、外食から一旦離れ、外食がない日常に不便さを感じなくなったお客さまを呼び戻すためには、コロナ禍前と変わらない品質やサービスでは厳しいことは確かだ。

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