メニュートレンド:寿司の進化が止まらない! 刺身の花でデコレーション

2023.11.06 537号 02面
寿司ケーキ ミニ&キューブ 594~842円(税込み) 手前から「いくら・サーモン」(712円)、「うに・かに」(842円)、「CUBE1」(594円)、「CUBE3」(670円)、「えび・ほたて」(680円)。ミニサイズはラウンド型5種類、キューブ型4種類を揃える

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生の鮮魚を1mm未満の薄さにスライスするのは至難の技。豊洲市場から鮮度も品質も高いものを仕入れている

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グレーを基調とした上品な内装は高級パティスリーさながら。カウンター席を2席設けてイートインも可能

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【愛用食材・資材】「白しょうゆ調味料」 ヒガシマル醤油(兵庫県たつの市)

【愛用食材・資材】「白しょうゆ調味料」 ヒガシマル醤油(兵庫県たつの市)

 近年、SNSなどで創作寿司ケーキを見かけることが増えているが、外食シーンで見かけるのはひな祭りなどのイベント時期程度。そうした状況に新風を吹き込もうと「寿司ケーキ専門店」として開業し、話題を呼んでいるのが、東京・東銀座の「No.SUSHI(ナンバードットスシ)」だ。

 ●特製醤油ジュレでキラキラ

 幅5cmほどの大きさに五目ご飯、酢飯の2層シャリ。その上にサーモンやホタテ、鯛、マグロなどが美しい花の形にあしらわれたさまは、何とも愛らしい。自家製の醤油ジュレで艶やかにコーティングしつつ調味も完成しており、鮮やかな色姿を崩さずに食べることができる、というのも満足度を高める大事なポイントだ。

 同店誕生のきっかけは、意外にも社長の誕生パーティーだったと業態開発を担当した店舗責任者の山本歩美さんは語る。

 「スタッフみんなでお祝いしようと準備していたのですが、社長は甘い物が苦手。そこで寿司ケーキを作ったのです。それを見た社長から後日“寿司ケーキの専門店をやろう”と言ってきたんです」。

 社長の指示が出たときにはすでに物件も決まっていたというのだから、驚くべき行動力。山本さんはパティシエとして働いた後に、幅広い食ジャンルに関わりたいと洋食や和食の調理も経験。そうしたキャリア遍歴も同店の誕生に大きく貢献した。

 「大きな課題となったのは乾燥対策です。テイクアウト専門店なので作ってから食べるまで数時間空くわけですが、そのあいだに刺身が乾燥してしまうのを防がなければなりません」と山本さん。そこで保水性を高めるための醤油ジュレを寿司タネに塗ってコーティングする手法を考案。刺身の色味を邪魔しない液色やそのまま食べてちょうどよい塩分濃度、長時間コーティングが保つ粘度といった具合に多くの条件をクリアするため、試行錯誤を繰り返したという。加えて刺身で小さな花模様を作るために身を極薄にスライスする技術も熟練が必要だ。

 個食できるミニサイズだけでなく、パーティーサイズも複数サイズを用意。記念日やパーティーの“サプライズ料理”として人気を博している。また8月からは食べ歩きが可能なカップ入りの「寿司パフェ」や、地方発送も可能な冷凍品を投入するなど販売チャネルや利用シーンを増やしている。「寿司ケーキを、寿司の新ジャンルとしてメジャーな存在に育てたい」と山本さんは意欲を見せる。

 ●店舗情報

 「No.Sushi(ナンバードットスシ)」

 経営=鬼喜/店舗所在地=東京都中央区銀座1-30-10 トマトハウス1階/開業=2022年5月/坪数・席数=7坪・2席/営業時間=11時~20時。第1・3水曜休/平均客単価=2000~4000円

 ●愛用食材・資材

 「白しょうゆ調味料」 ヒガシマル醤油(兵庫県たつの市)

 調味済みで完成度が高い

 寿司ケーキの品質の肝である「保水・調味・ツヤ出し」の3役をこなす醤油ジュレに使用。白醤油独特の薄い液色で刺身の新鮮な色味を濁らすことなく、味を付けることを可能にしている。

 規格=1.8L

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