人材活用レポート 人手不足に光明!特定技能外国人財こそが頼もしいスタッフになる新時代

2023.11.06 537号 15面
タビング・クレン氏は厨房内の調理などを担当

タビング・クレン氏は厨房内の調理などを担当

バーガーの仕込みを手際よくこなすクレン氏。「外国人財はどんな業務でも積極的に楽しく取り組んでくれる。生産性が高い」(櫻井部長)と言う

バーガーの仕込みを手際よくこなすクレン氏。「外国人財はどんな業務でも積極的に楽しく取り組んでくれる。生産性が高い」(櫻井部長)と言う

LEOCの事業所では、責任者やポジションリーダーを担う特定技能社員も多数いる。クレン氏にも今後はより高度な業務を任せていく予定だ

LEOCの事業所では、責任者やポジションリーダーを担う特定技能社員も多数いる。クレン氏にも今後はより高度な業務を任せていく予定だ

 労働力不足が深刻化している昨今、外国人労働者が注目されている。しかし、外国人スタッフの採用にあたっては、信頼性の担保やビザ取得、文化の違い、住居など、懸念材料も多い。そうした面をフルサポートし、特定技能外国人財と企業をつなぐサービスを展開しているのが、「ONODERA USER RUN(以下、OUR)」。病院、社会福祉施設、企業食堂などを運営するLEOCでもOURと連携し、特定技能外国人財を積極的に採用している。「優秀な人が多く、現場からも『特定技能外国人財を増やして』と指名がある」というLEOCに、特定技能外国人財活用の実情とメリットを聞いた。

 ●特定技能外国人財は今や不可欠な存在

 LEOCでは外国人財を積極的に採用している。同社は全国約2800事業所を運営し、約1000人の外国人スタッフが働いている(23年9月現在)。このうち、特定技能社員は770人が活躍し、OURがフィリピン・ミャンマーの現地で教育した人財は約80%を超える。特定技能の「外食」分野での採用とはいえ、LEOCは病院・高齢者施設・企業の社員食堂など「給食」を提供する特異な職場。調理全般や仕込み&盛り付けなどの調理補助を担当しているという。

 外国人財を現地採用し、日本で働いてもらうのは難題が多いが、LEOCの海外人財部・櫻井信彦部長によると、「グループシナジーを生かし、OURと連携するとスムーズ」と言う。OURのサービスは、アジア4ヵ国で運営しているOURの現地アカデミーで教育を受けた人財を日本の企業へ紹介。内定後のビザ申請、家電や生活必需品が備わった住居、携帯電話(通信SIM)の用意まで、生活定着に向けてきめ細かくサポートする。外国人財の当人はもちろん、採用する企業にとっても大きな安心感がある。

 LEOCとOURは特定技能の制度がスタートした19年から連携していて、今年下半期でさらに300人の採用を予定。「日本語の教育を受け、外食で働く知識を身に付けた優秀な人財をOURからの多く紹介してもらっています。各事業所からの特定技能外国人財の配属依頼は今では全国各地に広がり、外国人財は不可欠な存在」と、櫻井部長は話す。

 ●外国人財にとって日本は魅力的な労働環境

 LEOCが外国人財の採用拡大を決めた理由は、彼らの優秀さを実感したことが大きい。「OURの外国人財は一生懸命に働いてくれるので助かる。明るく人懐こく、粘り強さを持った真面目な若者ばかり。周囲の日本人スタッフにも良い影響を及ぼしている」(櫻井部長)と言う。

 一方、LEOCで働く特定技能外国人財によると、日本は彼らにとって「“給料”“おいしい食”“快適な住”が保障されていて労働環境として魅力がある」とか。それゆえ、生き生きと働けるようだ。

 OURの現地アカデミーが優秀な人財を選び、育てるシステムになっているのもポイントだろう。同アカデミーは、日本で働くことに意欲的な若者に対して、“無償”で教育を実施しており、入学・卒業条件はズバ抜けて厳しい。前向きで真面目な若者しか入学できず、そうした人財が教育をしっかりと受けた後に、日本に送り出されるのだ。

 ●特定技能外国人として生き生きと働くタビング・クレン氏

 フィリピン出身のタビング・クレン氏(32歳)は、OURの現地アカデミーで日本の外食に関する知識や、調理のトレーニングを受けた後、今年6月に来日。LEOCが受託運営する某メーカーの社員食堂で週5日勤務し、アカデミーで習得した技術を生かして、ピザやハンバーガーなどの調理を担当している。

 クレン氏は以前、日本の電子部品工場で7年間ほど働いていた。その後、特定技能制度を利用して再び日本で就労することを希望。特定技能外国人はクレン氏のように「以前日本で働いていたが、また日本で働きたい」という例も見られ、現場でも即戦力として受け入れられやすい。

 クレン氏の職場での評判は「いつも陽気で場の雰囲気を明るくしてくれる」と上々。また、外国人客はクレン氏が英語で接客しており、これも外国人財のメリットといえそうだ。

 職場環境についてクレン氏に尋ねたところ「皆さん、優しくて毎日楽しい。フィリピンで働くよりもお給料が良く、仕事を丁寧に教えてくれる。食事(まかない)もおいしくて安心して働ける」。この社員食堂でフィリピン料理を提供するのが、クレン氏の今の目標という。

 ◆クレン氏の一日(勤務内容例)

 8:00 ピザやバーガーなどの材料準備、食材の仕込み

 9:30 日替わりランチBOX、カレーの盛付け、食器準備、米とぎ

 10:30 朝礼

 10:45 開店準備

 11:20 接客、料理提供

 13:00 洗浄ヘルプ

 14:00 休憩

 15:00 ゴミ捨て、翌日の食材仕込み

 17:00 業務終了

 ◆「ONODERA USER RUN」の事業スキーム

 【海外現地で学生を募集】

 ミャンマー、フィリピン、ベトナム、カンボジアの4ヵ国で運営する自社アカデミーが日本で働きたい18~25歳の若い人財を募集

 ↓

 【学生を無償で教育】

 日本語教育など計700時間のカリキュラムに沿って、現地アカデミーで専門教育を無償で実施。累計学生数は4,600人以上、在校生は現在3,127人(23年9月末現在)

 ↓

 【日本の企業に人財を紹介・支援】

 アカデミーを卒業した特定技能外国人財を企業に紹介。採用後はビザ申請、日本での受け入れ準備、生活定着支援まで一気通貫でフルサポート

 ◆特定技能制度とは

 国内人材の確保が困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的に2019年4月から施行された制度。外食業、介護など12の産業分野が対象で在留期間は通算で上限5年まで。

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