海外通信 外食ビジネスの新発想(78)競争熾烈なアメリカのサンドイッチ市場

2024.07.01 545号 13面
人気ナンバーワンの「グリルド・チーズ」。とろとろチーズとカリッとしたパンの絶妙なコンビ

人気ナンバーワンの「グリルド・チーズ」。とろとろチーズとカリッとしたパンの絶妙なコンビ

グリルド・チーズのサンドイッチは、トマトスープとペアリングされることが多い。写真は、ベーカリーカフェのファストカジュアル店「パネーラ・ブレッド」の「グリルド・チーズ・サンドイッチ&トマトスープ」(8$49¢)。パンとチーズの種類は好みで選ぶことができる/ courtesy of Panera Bread

グリルド・チーズのサンドイッチは、トマトスープとペアリングされることが多い。写真は、ベーカリーカフェのファストカジュアル店「パネーラ・ブレッド」の「グリルド・チーズ・サンドイッチ&トマトスープ」(8$49¢)。パンとチーズの種類は好みで選ぶことができる/ courtesy of Panera Bread

「パネーラ・ブレッド」の「グリーン・ゴッデス・カプレーゼ・メルト」(13$19¢)。トマト、フレッシュ・モッツァレラ、パルメザンチーズ、ピーマン、フレッシュバジル、グリーン・ゴッデスドレッシング、ガーリック・アイオリをトーストしたフレンチバゲットに挟んだサンドイッチ/ courtesy of Panera Bread

「パネーラ・ブレッド」の「グリーン・ゴッデス・カプレーゼ・メルト」(13$19¢)。トマト、フレッシュ・モッツァレラ、パルメザンチーズ、ピーマン、フレッシュバジル、グリーン・ゴッデスドレッシング、ガーリック・アイオリをトーストしたフレンチバゲットに挟んだサンドイッチ/ courtesy of Panera Bread

チキン専門ファストフード店の「チックフィレイ」の「グリルド・チキン・サンドイッチ」(8$49¢)。ディッピングソースは、チックフィレイ、ハニーマスタード、ポリネシアン、バッファロー、スリラチャなど8種類から選ぶ。パンは、マルチグレーンやグルテンフリー、ブリオッシュのチョイスもある / courtesy ofChick-fil-A Inc.

チキン専門ファストフード店の「チックフィレイ」の「グリルド・チキン・サンドイッチ」(8$49¢)。ディッピングソースは、チックフィレイ、ハニーマスタード、ポリネシアン、バッファロー、スリラチャなど8種類から選ぶ。パンは、マルチグレーンやグルテンフリー、ブリオッシュのチョイスもある / courtesy ofChick-fil-A Inc.

「パネーラ・ブレッド」の「スパイシー・バッファロー・チキン・メルト」(11$59¢)。スモークしたプルド・チキン、アメリカンチーズ、レッドオニオン、スパイシーなバッファローソースをトーストしたバゲットで挟んでいる / courtesy of Panera Bread

「パネーラ・ブレッド」の「スパイシー・バッファロー・チキン・メルト」(11$59¢)。スモークしたプルド・チキン、アメリカンチーズ、レッドオニオン、スパイシーなバッファローソースをトーストしたバゲットで挟んでいる / courtesy of Panera Bread

「サンドウィッチェリー」の「クランベリーターキー・サンドイッチ」(14$95¢)。ローストしたターキー、セロリ、レタス、ローストしたアーモンド、クランベリーのチャトニーをレーズン・ウォルナットのパンで挟んでいる

「サンドウィッチェリー」の「クランベリーターキー・サンドイッチ」(14$95¢)。ローストしたターキー、セロリ、レタス、ローストしたアーモンド、クランベリーのチャトニーをレーズン・ウォルナットのパンで挟んでいる

サンドイッチ専門店「サンドウィッチェリー」

サンドイッチ専門店「サンドウィッチェリー」

サンドイッチ市場は競争が熾烈だ。通りには客を呼び込むための看板が

サンドイッチ市場は競争が熾烈だ。通りには客を呼び込むための看板が

サンドイッチが主力メニューのファストフード店「プレタマンジェ」

サンドイッチが主力メニューのファストフード店「プレタマンジェ」

 ●グルメ・サンドイッチで勝負

 アメリカの国民食は、言うまでもなくハンバーガーだ。毎年、アメリカ人は500億個のハンバーガーを食べている。つまり1人が週に3個のバーガーを食べるという勘定になる。ベジタリアンなどバーガーを食べない人だってかなりいるから、バーガーを食べる人はもっと頻繁に食べているはずだ。

 しかし、バーガー以外にもアメリカを代表するサンドイッチがある。地域性も大きい。有名なものは、フィラデルフィアの「フィリーズ・チーズステーキ」(ソテーまたはグリルした牛肉の薄切りと溶けたチーズをロールパンに挟む)、ニューオーリンズの「オイスター・ロール」(カキフライをパンに挟んだもの)、ニューヨークの「ルーベン」(コーンビーフとザワークラウト、スイスチーズをライ麦パンに挟んだもの)、カリフォルニアの「フレンチ・ディップ」(ローストビーフの薄切りを挟んだロールパンをディップに付けて食べる)など。

 一般的にアメリカ人が好んで食べるサンドイッチ人気トップ10は左の通りだ。

 どれもベーシックな定番のサンドイッチだが、外食店では、それぞれ工夫を凝らしてアップグレードしたクラフト・サンドイッチを提供している。

 最も人気が高い「グリルド・チーズ」は、食パンのスライス2枚にチーズを挟んで、バターで両面を焼いたシンプルなもの。これにはトマトスープが付き物だ。グリルド・チーズ専門店の「トム&チー」では、チェダーチーズとモッツァレラチーズにベーコンとマカロニ&チーズを挟んだものや、モッツァレラチーズとヤギのチーズにベーコンとソテーした玉ネギ、イチジクのプリザーブを挟んだものなどユニークなものがラインアップされている。また、ドーナツにチェダーチーズを挟んで焼いた奇想天外なデザートメニューも用意している。確かに、使うパンやチーズを工夫すれば、無限の可能性がある。

 人気ナンバー2のグリルしたチキンのサンドイッチ、ナンバー3のターキーのサンドイッチも、定番中の定番だが、中でもターキーのサンドイッチは、おそらく家庭で最も頻繁に作られるサンドイッチだろう。食パンのスライスにマスタードやマヨネーズを塗り、ターキー、トマトのスライス、レタスを挟んだものだが、サンドイッチ専門店ではかなりレベルアップしたグルメ版が提供されている。例えば、「サンドウィッチェリー」では、レーズン・ウォルナットのパンにオーブンでローストしたターキー、セロリ、レタス、ローストしたアーモンド、クランベリーのチャトニーを挟んだものや、デミバゲットにハニースパイス・マスタードを塗り、スモークしたターキー、ブリーチーズ、リンゴ、ルッコラを挟んだものなど、プロのサンドイッチに仕立てている。サンドイッチだからといって、レーズン入りの甘いパンを使わない手はない。クランベリーのチャトニーもまた甘いが、意外なハーモニーの食体験ができる。

 サンドイッチは、スーパーでも薬局でもどこでも買える。競争が激しいだけにサンドイッチ店では、フォカッチャ、サワードウ、7種の穀物入りパン、チャバタ、プンパーニッケルなど特別なパンを考え抜いた素材と組み合わせて、質・量ともに満足できるグルメ・サンドイッチを提供している。

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