東北業務用流通特集
コロナ禍が収束しているのかどうか、識者たちも軽々には表明できないだろうが、巷(ちまた)の飲食店では人数制限が緩和され、夜の街も少しは息を吹き返してきた。ウィズコロナの生活へ移行していくことになろう。旅行、宿泊への県民割り、クーポン券を利用すれば5000円、6000円割引になるとあって、新幹線の観光客が増加している。巣ごもり需要で業績を伸ばしてきた小売業と、これまで経験したことのない塗炭の苦しみを味わってきた外食産業。“外、中、内”の世界で人々の食スタイルは変化し、業績に反映している。業務用卸はほとんどが外・中食と共存共栄の関係だ。
「12ヵ月のうち9ヵ月は開店休業だった」「次の風が吹くまで耐えるしかない」といった声が聞かれ、業績は創業以来、赤字決算など出したことのない企業が赤字転落した。この間、払った代償は大きい。人員削減に踏み切り、組織がスリム化した企業。今後は得意先フォローをこれまで通り維持できるかどうかその真価が問われる。資金繰りでは、政府系金融機関にみられた無利子、無担保の“ゼロゼロ融資”を多くが利用した。当然返済が始まる。売上げ、利益を確保し、しっかりした財務管理で、まずは黒字転換を図りたい。
さらに値上げラッシュに対し、転嫁できなければ身を滅ぼすことになろう。「『言うは易く行うは難し』だが、まず言いにくいことをいう」(業務用卸幹部)、そうした営業が3年の負債を払う一歩になっていく。細かな従来のサービスがどれだけ自社に貢献しているのか、あるいは足を引っ張ってきたか。「不採算店の見直し、お客の選別」は待ったなしとなる。(東北支局長=三沢篤)
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