ウワサの新店舗:札幌の名店「だるま」がついに東京初進出
一度も冷凍していない新鮮なマトンを使用しており、臭みはまるでなく熟成したおいしさが楽しめる。食材の輸送など東京はコストも割高なことから、「ほんの少しだけ高くさせてもらった(笑)」(金副社長)と、札幌の店舗より10円高い価格設定
肉のメニューは3品。左から時計回りに、看板メニューの「成吉思汗」(1,290円、以下すべて税込み)、一番軟らかい「ヒレ肉」(1,690円)穀物肥育で特別に飼育したマトンのロース「上肉」(1,690円、数量限定)
●オープン初日はなんと6時間超の行列!
ススキノ名物として北海道では名高いジンギスカンの名店「成吉思汗だるま」が7月、東京・上野御徒町に新店をオープンした。同店は現在、札幌で5店舗を展開し、道外の進出は初。オープンの初日から行列をつくり、最後尾のお客はなんと6時間以上も並んだというからその注目度の高さがうかがえる。
同店は今年創業70周年を迎え、「新しいことに挑戦したい」と、4.4店では昼営業を開始、大型店舗の7.4店では予約を可能にするなど新しい取り組みを進め、ついに東京への出店にも乗り出した。新鮮なマトンを東京で提供することがこれまでは難しかったが、近年、チルドの技術が飛躍的に向上したことで念願の東京進出がかなった。
金有燮(キンユソプ)取締役副社長は、「ラムは一般に流通しているが、新鮮なチルドのマトンは道外では入手が難しい。そのため、ニュージーランドやオーストラリアから北海道に届くマトンをチルドで東京に直送している。タレも店では先代社長、私のほかごく一部の者しか調味できない秘伝のレシピで作っており、東京で再現するのは課題が多かった。しかし、東京でだるまを出したいという熱意を周囲の業者さんも一緒に共有してくれ、ついに実現した」と、熱い思いを語っている。
全国的に知られる松尾ジンギスカンよりも創業は古く、「ジンギスカンを食べたいなら札幌の人はビール園よりだるまに行く」とまで言われるほどの同店。その人気の理由は、何といってもマトンの新鮮さだ。毎日仕入れる新鮮なマトンを職人が手切りで仕込み、さらに来店客が途切れない人気ぶりから、仕入れたマトンはその日で使い切ってしまう。「うちは食品ロスはほぼない」(金副社長)と、日々新鮮なマトンを提供できるという。マトンはにおいが強いイメージがあるが、新鮮なマトンはにおいがなく羊肉本来の個性が楽しめる。
また、タレは創業当時に完成した、マトンのにおいを抑えてうまみを最大限に引き出す独自の味わいを守っている。多くのジンギスカン店の甘辛いタレとはまるで異なり、あっさりとした肉を引き立てる味わいで、飽きることなく何枚でもジンギスカンが食べられる。
店内の雰囲気も札幌の店そのものだ。上野という立地も「数多くの物件を見た中で、下町の風情がある上野エリアが最も札幌の雰囲気に近かった」(同)と、どこまでも札幌の名店のスタイルを守っている。
北海道でしか味わえなかった名店の味がそのまま東京で楽しめるというわけで、これは足を運んでみる価値あり。地方の名店の初進出劇は、まだまだ大きな話題を呼びそうだ。
●店舗情報
「成吉思汗だるま 上野御徒町店」
所在地=東京都文京区湯島3-41-5/営業時間=17時~翌2時。無休/坪数・席数=15坪・23席