第57回食品産業功労賞交流会 代表謝辞・選考経過報告
●代表謝辞
日本コナモン協会会長・熊谷真菜氏 食文化継ぎ楽しさを
2013年の「和食」ユネスコ世界無形文化遺産登録や、17年の「文化芸術振興基本法」改正を機に、日本の「食」が正式に文化として認められるなど、国を挙げて食文化継承の体制が整ってきました。このタイミングでの今回の受賞を、とても喜ばしく思います。
コナモン食文化を専門に、全国の粉どころで多様な文化や歴史を背景にした味わいの継承を目指し、活動してまいりました。大阪では、昔から大阪湾でタコ漁が行われてきたこともあり、昭和初期にたこ焼きが誕生しました。ソースやマヨネーズを使うようになったのは戦後のことですが、最近では世界の主要都市でたこ焼きが食べられるようになり、食文化として定着するインドネシアのような国も誕生しております。
寿司や天ぷら、刺し身など和食が勢いを増して世界中に広がる中にあって、今後100年は、国内外問わず多様なコナモンがその土地の食と融合し、新たな食文化として誕生することを楽しみにしております。
今後も体力が続く限りこれを巡り、食べ続け、多くの人と出会って食の楽しさを共有したいと願っております。
●選考経過報告
選考委員長・櫻庭英悦氏 新部門に国際・食文化
第57回食品産業功労賞選考委員会は8月1日に、ホテルニューオータニ東京で選考委員の出席の下で開かれました。冒頭、9年の長きにわたり選考委員を務めた中野勘治三菱食品元代表取締役社長・会長が5月に急逝しました。選考委員会への多大な功績に感謝、ご冥福を祈り、選考委員、事務局全員で黙とうをささげました。
議事に入り、昨年に承認されました食品産業功労賞実施要領について意見を交わしました。その結果、生産、技術、流通・情報、外食・中食、国際・食文化の五部門とすることで満場一致で承認されました。昨年の制定段階で国際と食文化が独立した部門でしたが、推薦の過程などを踏まえ、検討の結果、両者を合わせて一部門としました。また従来、外食部門でしたが、近年の中食業界の進展を考慮し、外食・中食部門としました。
この後の選考は承認された実施要領に基づき、この5部門で行いました。今回、各選考委員からの贈呈候補者は85人でした。例年の通り、選考委員会ではあらゆる角度から検討、活発な議論の結果、生産部門5人、技術部門1人、流通・情報部門4人、外食・中食部門3人、国際・食文化部門4人の合計17人が満場一致で選考されました。
受賞された皆さま、過去に受賞された方々には健康に留意し、この困難な時代にこの知見を生かして、食品産業のさらなる発展のためにご指導を賜りますようお願い申し上げます。
●選考委員
▽委員長=櫻庭英悦(農林水産省食料産業局元局長/高崎健康福祉大学特命学長補佐・客員教授)▽選考委員=浅野茂太郎(明治ホールディングス元社長)、歌田勝弘(味の素元社長)、大河原愛子(デルソーレ前代表取締役会長)、垣添直也(ニッスイ元社長)、小路明善(アサヒグループホールディングス取締役会長兼取締役会議長)、國分勘兵衛(国分グループ本社代表取締役会長兼CEO)、正田修(日清製粉グループ本社名誉会長相談役)、田中茂治(日本アクセス元社長/伊藤忠商事理事)、茂木友三郎(キッコーマン取締役名誉会長・取締役会議長)、今野正義(日本食糧新聞社代表取締役会長CEO)=敬称略
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