アポなし!新業態チェック(209)「スミス・ティーメーカー(ショップ&カフェ)」渋谷店

2025.01.06 551号 14面

 ●米国の高級ティーブランドがカフェ開業 隣接するショップのティー製品を最適な抽出方法で味わえる

 米国の高級ティーブランド「スミス・ティーメーカー」が、ショップとカフェを複合した日本で初めてのフラッグシップストア「SMITH TEAMAKER SHIBUYA TASTING ROOM(SHOP&CAFE)」を、東京・渋谷の商業施設内にオープンした。

 同ブランドで販売する約30種類の茶葉をすべて揃えた売場に隣接するカフェは、建物の大きな窓から渋谷の街を一望する開放的な空間。オープンカウンターとセルフ客席35席を備えた本格的なカフェで、同ブランドの製品をその場で味わうことができる。

 同店では、それぞれの茶葉について適切な抽出方法や抽出時間を守り、その風味を最大限に引き出すためポットでの提供は行わない。「フェズ」や「マサラチャイ」のようなグリーンティーやブラックティーは750円、「ゴールデンライト ラテ」のようなティーラテは890円、アイスティーは720円で提供。また、「テイスティングルーム」という名称の通り、代表的な3種類の茶葉と、それぞれの風味に合うクッキークリームサンドをペアリングした「ペアリング ティーフライト」(3300円)も用意した。茶葉には、東京限定のブレンド「トウキョウ トワイライト」などもある。

 フードは、パンの専門店による「メープルクロッカン」「シナモンロール」(各600円)や、ヴィーガン焼き菓子専門店の「ジャイアントチョコレートクッキー」(700円)、「チョコレートファッジブラウニー」(550円)など10種類ほど。(価格は税込み)

 ★けんじの評価:フードメニューや食器などにもこだわり

 「スミス・ティーメーカー」は、創業者のスティーブン・スミス氏が2009年に設立したブレンドティーのブランド。紅茶や緑茶、ハーブティーなど幅広い品揃えで知られ、日本でも人気が高い。スミス氏はスターバックスの「チャイラテ」開発に関わったことで知られるが、自らのティーブランド「TAZO」をスターバックスに売却した後、産地を厳選した高品質で希少な茶葉や食材を用いて、少量生産で作り上げるブランドを創業。自身の名を冠し、出身地の米国・ポートランドで創業した。

 一般に、飲食店として確立したブランドが、そのブランドを冠した食品を販売してメーカーとして拡大するという王道のパターンがある。そうした企業は過去にも数多くあるが、近年はすでに成功した食品メーカーや食物販(食品の製造と販売店の多店舗化を兼ねる)の企業が、売店とは別にかなり本格的な飲食店を出店するケースも増えている。チョコレートのゴディバや、最近ではバウムクーヘンの治一郎、堂島ロールのモンシェールなどが出店するカフェが一例だ。

 今回の店舗を運営するのは、20年から同ブランドの日本総代理店となった大阪の東洋ベバレッジ。メーカーとして、提供するメニューや店づくりへのこだわりはかなりのものだが、店舗の運営にはやや気になるところもある。

 今時、注文品の受け渡しに名前を聞くという対応はアリだろうか。セルフサービスでトレイを使わず、不安定な食器を直に持たせるというのもどうなのかなと感じた。

 ◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。

 ●店舗情報

 「スミス・ティーメーカー(ショップ&カフェ)」渋谷店

 開業=2024年10月24日/所在地=東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア4階

 ●編集協力:株式会社イートワークス

 http://www.eatworks.com/

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