漢方スローライフ 季節と一緒にいい加減(186)秋分 迎える日、行く日
●24節気 秋分(9月23日)
春分と同じように太陽が真東から登り真西に沈み、昼と夜の時間が同じになる日、つまりその直線距離が最短になる日です。仏教では、彼岸と此岸の間に流れる三途の川の川幅が細くなり、あちらにいる方々との距離が一番近くなる日とされます。
先祖供養といえばお盆。現世の家族が、自宅で懐かしいみなさまが戻ってくるのを迎える日ですね。そしてお彼岸は、あの世に近づく日なので、お墓参りでこちらから会いに行き、感謝の気持ちを伝えます。こうした風習は日本独自のもの。神道でも秋分は祖先を敬い亡くなった人々を偲ぶ日で、宮中では「秋季皇霊祭」が行われます。「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますが、近年、夏の暑さはもっと長引きます。残暑の日にはみずみずしい梨を食べて、少しでも暑さを忘れたいですね。
●ごうんろっきで気象うらない
五運六気・2025年(乙巳年)
客運が火太過で火気の勢いが増し、客気の湿気と重なってベトつく残暑になりそうです。
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五運は、5惑星「木(風)・火(暑、熱)・土(湿気)・金(乾燥)・水(寒)」をなぞらえた天の気。六気は、地球の地の気である「風・寒・暑・湿・燥・火」。この組み合わせで24節気ごとに巡ってくる気象と、それが私たちの身体に及ぼす影響を予想するのが「五運六気」。
◆梨と生ハムのサラダ
咳・のどの渇きに梨を!
エネルギー200kcal たんぱく質5.8g 塩分1.5g(1人分)
〈材料・2人分〉
・梨……1/2個
・生ハム……40g
・レタス……2枚
・ベビーリーフ……1袋(30g)
A・オリーブオイル……大さじ2
A・リンゴ酢……小さじ2
A・塩……少々
A・あらびき黒こしょう……適宜
〈作り方〉
(1)梨は皮をむいて芯をとり、食べやすい大きさに切る。野菜類は洗って水気を切り、レタスは適当な大きさにちぎっておく。
(2)器に(1)の野菜・梨と生ハムを盛り合わせる。Aを混ぜてドレッシングをつくり、上にかける。
●梨 Pear
【栄養学】みずみずしく、シャリシャリとした食感が特徴です。血中ナトリウムの排泄を促すカリウムが多いため、高血圧の予防効果が期待されます。
【薬膳学】】空気が乾燥してくる秋、梨は肺を潤してのどの渇きを癒し、咳や痰をとる効果があります。生で食べると「清熱」、加熱すると「滋陰」に働きます。
東京栄養士薬膳研究会栄養士・国際薬膳師 松尾貴代(レシピも)