ヘルシートーク:スキージャンプ選手 一戸くる実さん
◇SNSのレシピ動画を見てつくる 野菜スープが身体づくりのベース!
今春、伝統ある雪印メグミルクスキー部に初の女性ジャンプ選手として加入した一戸くる実さん。夏の国際大会で初優勝を飾り、2026年2月に開催されるミラノ・コルティナ冬季五輪出場を目指す一戸さんに、身体づくりのために心がけている食事や体重コントロールの秘訣、さらに趣味についてもお聞きしました。
●鍋いっぱいにスープをつくって1週間食べ続けています!
食生活で大事にしているのは、「長く続けられる食事」をとることです。スキージャンプは体重が関わる競技でもあるので、自分でコントロールしなければいけないんです。でも、そのために我慢して嫌いなものを食べるとストレスになってしまうので、普段から継続できて身体に良く、好きなものを選んで食べるようにしています。とくに夜ごはんの後は、トレーニングがない分、食事には気をつけています。
いま、札幌で1人暮らしをしているのですが、自炊する中で感じたのは、生野菜を食べ切るのは難しいということ。野菜が大好きで一度にたくさん買うものの、生で食べようとすると傷んでしまい、結局使い切れなくて。最近は、野菜スープをつくるようにしています。冷凍しておけば保存もきくので、いつでも食べられますからね。
レシピを決めるのは、午前中の練習が終わった後。SNSで「ダイエット」「野菜スープ」などで検索すると、いろいろなレシピ動画が出てくるんです。材料の切り方も動画で見られるので、便利ですね。
スーパーで食材を買ってきたら、すぐに鍋いっぱいにスープをつくります。同じ食事が続いても飽きないタイプなので、それを1週間くらいかけて食べることが多いですね。コンソメベースのスープはよくつくっていたので、この間は塩ダレ味のスープにチャレンジしてみたんです。豚バラ肉を炒めて、もやしとキャベツを加えたスープはすごくおいしくて、昨日食べ終わったところです(笑)。
果物も大好きで、最近は柿や梨、シャインマスカットをスーパーで買ってきて食べています。
●頑張った自分へのご褒美は甘くておいしい「雪印コーヒー」
毎朝欠かさず食べているのがヨーグルトです。海外遠征に行った時も、ヨーグルトは必ず朝食に出るので、普段からとっていれば、食生活が変わらずにすむからです。朝は雪印メグミルクのプレーンヨーグルト、パン、フルーツを食べることが多いですね。
ワールドカップレベルの海外の試合では、ジャンプ台の横にバナナやオレンジなどの果物が補食として用意されています。スキージャンプ選手には体重のラインが決められていて、それを下回ってしまうと失格になってしまうので、試合の直前まで水や果物をとって体重をコントロールしている選手が多いんですよね。
私の場合は逆で、体重が減るように、試合の2~3日前から、夜ごはんの量を少なくして調整しています。それだけでは無理だと思ったら、食後にサウナスーツを着て1時間ほどランニングをしたり。空腹を紛らわすために走りに行くこともありますね。試合では体重が軽い方が有利なので、1~2kgは減らすようにしています。
食事を我慢した分の自分へのご褒美は、甘くておいしい「雪印コーヒー」。海外の試合も、これを楽しみに頑張って、帰国したら真っ先に飲んでいます!
海外の遠征や試合では、ジャンプ台がポツンとあるような田舎町に行くことが多く、ホテルで出る食事を食べることがほとんど。ただ、ヨーロッパでは、チーズが日常にあふれていて、日本とは違うおいしさを感じました。中でもモッツァレラチーズは種類も多く、ヨーグルトのようになめらかなチーズにはちみつをかけて食べたら、「デザート?」っていうほどおいしかったですね。
●ヘルメットの塗装はトップ選手の証2~3年後には好きなデザインに
ジャンプしているシーンを撮影してもらったのがうれしくて、「誰かを撮ってあげたい」という思いから、趣味になったのがカメラです。
選手の写真を撮るのが好きで、最近ではイタリアの試合後、男子の応援に行った時に撮影しました。優勝した瞬間や表彰式とは違う、選手たちの何気ない姿や、私だから見える景色を撮りたいと思っています。SNSに写真をアップすると、選手たちはみんな喜んでくれますね。いま使っているカメラは2台目で、雪印メグミルクに入社した際の初任給で買ったもの。レンズを外せない昔ながらのデジカメなんですけど、その不自由さも気に入っています。
商売道具でもあるスキー板やウエアなどは、フィーリングが合うものを選んで、シンプルな色で合わせるようにしています。トップ選手になると、ヘルメットを好きなデザインやカラーに塗装していて、それが選手のイメージにもなっているんですよね。私はまだ一流だとは思っていないので真っ白のまま。でも、2~3年後には、自分の好きなデザインを塗装できるようになりたいと思っています。雪のマークや淡い色で雪印メグミルクの選手らしいデザインにして「一戸くる実といえば、このヘルメットだね」と思ってもらえればいいなって。
オリンピックに出た父がきっかけでスキージャンプを始めたのですが、いまも続けているのは、父の夢を受け継いでメダルをとりたいという思いがあるからです。まずは来年のミラノ・コルティナ冬季五輪に出場して経験を積み、成績を残して、4年後の大舞台でメダルを獲得することが一番の目標です。
◆プロフィル
いちのへ・くるみ 2004年6月20日生まれ、千葉県出身。トリノ2006冬季オリンピックに出場した父・一戸剛氏の影響で小学5年の時にスキージャンプを始め、中学3年時に全国中学校スキー大会で優勝。2023年1月、ワールドカップデビューを果たす。高校卒業後の2023年CHINTAIスキークラブに所属し、2025年春に雪印メグミルクスキー部に初の女性ジャンプ選手として移籍。今年、TEAM JAPANネクストシンボルアスリートにも選出。











