宅配ビジネスのキーマンに聞く(2)ストロベリーコーンズ・中井浩幸氏

2003.12.01 278号 7面

宅配ピザとレストラン事業を手掛ける(株)ストロベリーコーンズは、今年4月に持株会社「いちごホールディング」と商号変更し持株会社に移行。会社分割により、ピザ宅配事業専門子会社ストロベリーコーンズとして新たにスタートした。6月からはモスバーガーのメニュー宅配を代行する「ピックアップ・デリバリー」サービスを首都圏で開始。新たな消費者ニーズを開拓し、売上げを飛躍的に伸ばしている。同社の取締役事業本部本部長・中井浩幸氏に話を聞いた。

‐‐ストロベリーコーンズの変遷と現状について聞かせてください。

中井 ストロベリーコーンズは、八三年に宮城県で創業。八六年に第一号店を仙台市に出店、九二年に東京に進出しました。現在は全国に直営店四八店、FC店一四八店の計一九六店を展開しています。

‐‐ストロベリーコーンズのセールスポイントは。

中井 当社のセールスポイントは、ストロベリーコーンズでしか食べられない独自の味を大切にしたメニューと、平均価格一八〇〇円というリーズナブルな値段にあります。

安いといってもディスカウントを意味するのではありません。当社は地方からスタートしたこともあり、早くから損益分岐点を低く設定できる独自の戦略情報システムを構築してきました。

現在、POS、顧客情報、受発注、ヒューマンリレーション、勤怠管理、経営情報、販売情報などの各管理体制を一体化した当社のシステムでは、損益分岐点を首都圏の店で平均月商五五〇万円、地方店では三八〇万円前後までに抑えることが可能です。それによって、お客様に喜んでいただける価格で商品を提供することができるのです。

さらにITに頼りきるのではなく、システムの有効利用によって浮いた人手でお客様に対するホスピタリティの充実にも力を入れています。 ‐‐宅配ピザニーズの現状について聞かせてください。

中井 宅配ピザの市場が縮小しているとは考えておりません。それにピザに限らず宅配ビジネスとして見た場合、宅配は将来性のある非常に魅力的なビジネスだと考えています。

ただ現在は市場競争が厳しいのも事実です。今後は、独自のブランドと商品力を確立できるか否か、が生き残りの条件となるのだと思います。

‐‐貴社のメニューの特徴と今後のメニュー戦略は。

中井 業界でいち早く和風メニューや、クリスピーを導入するなど独自の路線を打ち出しているのが大きな特徴です。新メニューではこの秋から発売した「まつたけ尽くし」が好評です。マツタケにポルチーニソースを使って独自の味付けをしたこのピザは、日本人の秋の味覚にぴったりのものだと自負しております。今後もリーズナブルでおいしいピザを開発し続けるのがわれわれの使命だと考えております。 ‐‐今後の事業展開と出店戦略は。

中井 モスバーガーと提携した「ピックアップ・デリバリー」(宅配代行)を強化します。これは、ストロベリーコーンズの店舗でモスバーガーのメニューオーダーを受け、近隣のモスバーガー店舗にメニューオーダーを転送し、宅配バイクでモスバーガーのオーダー商品をお届けする、いわゆる宅配代行システムです。

現在、モスバーガーと提携している店舗ではオーダー数が四〇%増え、売上高はストロベリーコーンズ商品で一〇%増、モスバーガー商品もかなり伸びているようです。

今までピザを食べなくても、ハンバーガーなら食べるというお客様に、「モスバーガーを頼むついでに食べたことのないピザも注文してみるか」という気持ちになっていただくことに成功したのだといえます。

さらにわれわれのポスティングなどの販促活動により、モスバーガー店の認知度が上がり、モスバーガーのテークアウトが増えるという相乗効果もでています。現在提携しているのは当社の店舗のうちわずか四五店舗で、これは当チェーン一九六店舗のうち四五店舗が対象になっているだけに過ぎません。

モスバーガーとの提携は今後も積極的に取り組み、全国のお客様にわれわれのピザとモスバーガーをいっしょにお届けできるようにする計画でおります。その実現のためにまずは、来年3月までに提携店を一〇〇店舗まで増やす予定です。

‐‐ありがとうございました。

◆(株)ストロベリーコーンズ/所在地=東京都港区芝二‐二‐一四、一星芝ビル四階、電話03・5730・1515/店舗数=一九六(直営四八・FC一四八)/年商=一二〇億円(平成15年3月期・いちごホールディングスグループ全店)

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