百花繚乱!立ち食いそば:「だし家」しょうが天うどん
東急池上線と大井町線が交差する旗の台駅。決して大きいとはいえないこの街で、持ち帰りを含めて毎日二五〇食以上を売る人気店がある。
荻窪の人気店「いちふじ」で働いていた二人が、昨年の春に開店させた「だし家」である。
さて、この「だし家」は名前の通り、つゆがすごい。だしには昆布をベースにそば屋の定番とされるソウダ・サバ・カツオと三種の厚削りを使用、当然のように一日何回にも分けて引きなおす。設備さえ揃えられれば店で節を削って使いたいというから恐れ入る。
そして、この店では「かえし」も自作。こちらも定番のヒガシマルとヒゲタという二種類の醤油を使用し、店舗とは別の所で一定の温度を保ち一週間寝かせている。
味が薄いと感じる人のため、カウンターにはこの「かえし」が小びんで提供されている。が、ここはぜひともそのまま一滴、ひとなめしていただきたい。角の取れたまろやかな塩分の底に、やさしい甘みと香りが息づいているのを感じることができるだろう。
サラリーマンを中心客としながらも、中学生までもが通りがかりに食べていく。若いうちからこんな本物のかけそばを、それもたった二〇〇円で食べられるとは本当にうらやましい限りだ。近所にあれば「かけぬき」でつゆだけを飲みに通ってしまうかも知れない。
◆「だし家」(東京都品川区旗の台2-7-1)営業時間=平日・午前6時40分~午後11時(水土は午後8時)、日曜定休、祝日不定休
◆青木剛理=立ち食いそばの発展・認知高揚を目的に、ホームページ「立ち食いそば紀行」(首都圏の立ち食いそば店ランキングなど/http://www.gori.sh//)を主催運営。当連載は約六〇〇軒強の食べ歩き実績から超必見店を紹介。