電化厨房特集:中華料理にも電化厨房の波=大阪王
大阪市は平野区の「大阪王」は、地域密着の中華料理店。1日500食以上売る特製餃子をはじめ、麺飯類にファンが多く、連日行列が絶えない。3年前に厨房の環境改善と安全管理を目的に電化厨房を採用したところ、作業効率の向上と環境改善で、期待を上回る成果を得ている。
「電化厨房は夏でも涼しいのがいいですね。それに立ち上がりが早いのでスピーディーな調理ができる」と店主の藤田守さん。
IH餃子焼き器では餃子1人前が5分で焼き上がり、しかもその間にIH中華レンジでチャーハン2人前の調理ができるという。
「電化厨房にしてから、どんなに忙しくてもお客を10分以上待たせることはありませんね」
昼時に客が集中するこの店ではスピードが勝負。しかし、あまりの早さに客のなかには作り置きしているのではないか、と勘ぐる人もいるとか。
藤田店主が電化厨房の採用を決断したのは、「後継者に働きやすいお店を残したい」と考えてのこと。
「ガス厨房は火器の周りを、うっかり素手で触るとやけどをするくらい熱かった。自分は我慢すればいいが、子どもにもそうしろとは言えなかった」と藤田さん。
過酷な熱さでは、体力の消耗も激しかった。
「ある時、あまりに疲れていてガスに鍋をかけっぱなしにして休憩してしまったことがありました。その時はすぐに気がつき、無事に済みましたが、将来を考えると不安も感じました」
以来、厨房環境の改善を真剣に考えるようになったという。
電化厨房の採用により厨房環境は大きく改善された。しかし、当初はガス以上に火力が強いIH中華レンジを使いこなすのが大変だったとか。
しかし「IHは中華鍋の底の一部分だけを強く熱する。だからその部分に食材が留まるとコゲやすい。調理時には食材を攪拌し続けるのがコツだとわかると、チャーハンも従来よりパラッとおいしく仕上がり、しかも調理時間が短縮した」と言う。
電化厨房は店の繁盛に貢献するだけでなく、高齢化社会を迎え、今後大きな課題となる飲食業の安全管理の切り札ともなりそうだ。
◆現場からの声:藤田守店主
中華の厨房は熱いのが当たり前と言われてきました。調理に遜色なく、安全で涼しく清潔な電化厨房は中華店の厨房をこれから大きく変えるのではないでしょうか。
同業の中国の料理人も試しにきて、火力の強さと快適な厨房環境に感心し、本国でもぜひ電化厨房を採用したいと言って帰っていきました。長年ガスで調理してきた人でもコツさえつかめば、ガス同様に使いこなせますね。
◆店舗メモ
大阪王長原店(大阪市平野区長吉六反3‐9‐16、電話06・6799・2954)営業時間=午前11時~午後2時、4時~9時、月曜定休/スタッフ=調理3人/席数=40席/調理器具=IH餃子焼き器、IHフライヤー、IH中華レンジ、IHゆで麺器、IHローレンジャー、ほか