ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(2)アメリカで高まる紅茶人気

2006.12.04 322号 10面

コーヒーが主流のアメリカでも徐々に紅茶の人気が高まりつつあり、紅茶の店が次々にオープンしている。そのほとんどが伝統的な紅茶の店ばかりだが、マンハッタンの繁華街、ユニオンスクエアに新しくできた「タヴァロン」は新しいコンセプトの紅茶の店だ。ミニマリストの洗練されたインテリア。新感覚の紅茶ドリンク。使っている器具もおしゃれでモダンだ。伝統的な紅茶のイメージをくつがえす新しいティールームの誕生だ。(外海君子)

オーナーは27歳の韓国系アメリカ人、ジョンポール・リーさん。大学卒業後、コンサルティング会社に勤め、退職してからアジア、ヨーロッパ各地を旅した。この間、世界各地でお茶が飲まれていることを発見。アメリカに帰国後、2年間を計画、リサーチ、資金調達に費やし、2006年4月に全く新しいコンセプトのティー・バー、「タヴァロン」をオープンさせた。場所はニューヨークでも有数の繁華街、ユニオンスクエア。1分間に85人から95人の人が通るという一等地だ。

「ティー(紅茶、緑茶などの総称)は世界で水の次によく飲まれているドリンクだが、アメリカではその消費量はすべてのドリンクの中で6番目に過ぎない」とリーさん。

「一般的なアメリカ人は、お茶を女性的な飲み物だと思っている。そのコンセプトを覆し、新しくて、ヒップで、楽しくておいしい飲み物だというコンセプトに置き換えたい」と言う。

同店のメニューには、お茶本来の味を楽しむストレートタイプと、お茶のソムリエが開発した目新しいブレンドアイテム(ティー・ドリンク)がある。ストレートアイテムは、アッサム、ダージリン、アールグレイなどの紅茶のほか、緑茶、ウーロン茶、白茶、カモミール、ルイボスなど。一方、オリジナルアイテムは、パイナップルとココナッツをまぜたホワイトティー、レモングラスをミックスした緑茶、ショウガ、ペパーミントをまぜた紅茶などなど、どれも斬新なものばかりだ。

これらはすべて、ホット、アイス、バブルティーの3つの中から選択ができる。サイズは、12オンス、16オンス、20オンスの中から選ぶ。

従来のコンセプトを破るブレンドアイテムも斬新的だが、置いてあるグッズも斬新的だ。ポット一つとっても、ウルトラモダンなデザインのグラヴィティ(重力)ポット、潜水服のようなウォーマーを着せたポット、茶こしの巨大なポットなどがそろえてある。

店内は清潔で明るくモダン感覚だ。中2階では、DJがいろいろなジャンルの音楽をミキシングしており、道行く人がいったい何の店なのだろうと興味津々でのぞいていく。お茶の店だと知って驚く人が多い。

まだ若いリーさんは野心的だ。近々、マイアミ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ラスベガス、シカゴという大都市に直営店を開店させる予定だ。いつかお茶をアメリカにも浸透させ、タヴァロンをスターバックスのように広めていきたいと考えている。

●事業データ

店舗名=タヴァロン(Tavalon)/所在地=22 East 14th Street,New York,NY/開業日=2006年4月/営業時間=月~金午前8時30分~午後10時30分、土午前10時~午後10時30分、日午前10時30分~午後9時30分/席数=テーブル席4席、カウンター席4席/客単価=約5$(一度に200$買っていく人もおり、ばらつきがある)/一日来客数=300~400人/スタッフ数=常時3人/床面積=400平方フィート

●人気メニューベスト5

1位「チャイ・セダクション」(小3$、中3$50¢、大4$)=牛乳、オーガニックの砂糖、グルメチョコレート少々、伝統的なインドのスパイスを加えた紅茶。

2位「ジニアス」(小2$75¢、中3$25¢、大3$75¢)=生のミント、プラムをまぜた高級白茶。

3位「グリーンティー・ラテ」(小3$25¢、中3$75¢、大4$25¢)=抹茶、牛乳、バニラ、ハチミツをまぜたラテ。

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