メニュートレンド:中国版ファストフードをアレンジ「青島クレープ」 「China cafe瑠璃」
神戸・元町の中華街にある「China cafe瑠璃」は、老舗が立ち並ぶなかで健闘中の新店。日本で初めて売り出したという、「青島(チンタオ)クレープ」をウリに、飲茶類をテークアウトで提供している。観光客のほか、リピーターも多く訪れるという同店の魅力を取材した。
「China cafe瑠璃」は、空き地に設置したユニットハウスで営業する小さな店。食べ歩きを楽しむお客向けの、テークアウト専門店である。店頭に設置したベンチで、休憩がてら利用するお客も多く、週末や祝日には250~300人の利用客でにぎわう。
冷凍ギョウザ事件以来、逆風が懸念される中国食品。神戸・元町の中華街でも、当初は影響が出たという。「報道後3日間は、利用客が激減しました。でも、うちはお客さんの目の前で調理しますから、安心感があるという声が多かった。客足も戻りました」と、オーナーの平山惠美さん。
その、目の前で焼いてくれる看板メニューが、「青島クレープ」(380円)。この商品名は同店のネーミングであり、中国北部では「煎餅果子」(ジェンビングォス)と呼ばれるもの。いわば、中国版お好み焼きといった、庶民的なファストフードである。同店では、日本人の好みに合わせて、具材や味を調整している。
まず、小麦粉と上新粉にだしなどで作った生地を薄く焼き、さらに、卵やごま、ネギを加えてクレープ状に。チャーシューや揚げせんべい、レタスを包み込んで仕上げる。味のポイントは、内側に塗るピリ辛のたれと、チャーシューのジューシーな風味。チャーシューには、中華街の老舗有名店のバラとモモの2種類を使用して、味のバランスをとっているという。
生地は、中はモチモチで外はパリッとした食感。ヘルシーでボリュームがあり、1つを2人で分けて食べるお客も多い。焼き上がりまでの所要時間は約2分。オーダーを受けてから調理するため、熱々を楽しめる。
そのほか、各種飲茶類が用意されており、なかでも人気なのが、「湯葉入り肉まん」(130円)。直径7cmほどと小ぶりで、具材を湯葉で包んでいるのが特徴。小龍包風に、内部にはスープが閉じ込められており、湯葉がうまい具合に水分を包み込んで蒸し上がる。
同店は、以前は芦屋でレストランとして運営されており、湯葉入り肉まんは、そのころからの人気商品。前オーナーから、味も引き継いだ平山さんは、「このおいしさを神戸でも発信していきたい」と話す。
中華街には、集客が望めるメリットの半面、競合する店や商品が数多い。「屋台でも、素材や作り方に一手間かけることで、お客を引き付けられる。手間を惜しまず、おいしさを追求することがモットー」。今後は、神戸らしい素材を取り入れたクレープメニューも増やす予定とかで、当地にないものを提供することで、キラリと光る店を目指したいという。
◆「China cafe瑠璃」/店舗所在地=神戸市中央区元町通1-1-11、電話070・6503・6661/開業=2007年2月/営業時間=午前11時~午前6時(土・日曜、祝日=7時30分)不定休/店舗面積=5m×2.5m、席数=16席/スタッフ=1~3人
●愛用食材●「甜面醤」 ピリ辛たれのベース
青島クレープのポイントになるのが、ピリ辛のたれ。具材の主役であるチャーシューの味を生かすため、甘みを抑えた味を目指したという。同店では、甜面醤をベースに、豆板醤や海鮮醤など計6種類の材料をブレンドして調味している。
ユウキ食品(株)東京都調布市富士見町1-2-2 電話042・442・0801