宅配サービスの注目株(16)最大級の総合デリバリーサイト 夢の街創造委員会「出前館」
2000年にスタートし、わずか8年で加盟店数約8300店に達した日本最大規模のデリバリー総合サイト「出前館」。現在はパソコンだけでなく、携帯電話やネット対応テレビからも注文可能で、帰宅途中に電車の中から注文し、家に着くころに商品が届く、といった使い方もできる。次々と新サービスを提案する「出前館」の現状を追った。
夢の街創造委員会(株)の中村利江社長によると、「出前館」のスタートは2000年10月。「ほっかほっか亭」の加盟もあり、1年後には約1000店舗の加盟店を獲得。その後、ヤフーやホットペーパー、アスクルとの提携を行い、受注の入り口を広げていった結果、現在は約8300店舗が加盟しているという。
出前館のオーダーシステムは、インターネットからのユーザーの注文メールが、カスタマーセンターのサーバーでファクス情報に変換され、店舗に注文シートがファクス送信されるもの。また、受注確認や待ち時間変更なども、店舗から電話のプッシュボタン操作で行えるため、店舗にパソコンがなくても出店は可能だ。
費用は1店舗当たり月額基本料3000円と受注金額5%(基本)のオーダー手数料。初期費用は、ホームページ制作料の実費など約2~5万円が必要だ。
中村社長は「一般的な飲食店ではチラシを使った販促コストが売上げの8%以上といわれるが、出前館に出店することでチラシ配布数を減らし、販促コストを6%未満にすることも可能」という。
また、競合他サイトとの違いについて「アフターフォローに力を入れている点」と指摘する。例えばメール販促など、新規顧客獲得のための仕掛けを独自提案し、店舗での売上げアップを図るという。
出前館に出店したある弁当店では、宅配需要が増加したためイートインを廃止。売上げは1.6倍となり、その内訳は宅配が9割で、テークアウト1割。効率的な売上げアップとともにスタッフのモチベーションも高める好循環を構築した。このようにイートインから宅配に軸足を移す加盟店が、昨年だけで数十店もあったという。
「店で食べるよりも家に持ってきてほしいというニーズはますます増えている。一方、自分たちの料理に自信があっても、売り方が分からないという声も多い。出前館が伸びてきたのは、そうした店舗のニーズに沿うことができたから」と中村社長。
2007年には携帯電話の公式サイトがスタートし、現在はパソコンからの利用が7割、携帯電話3割。今後、さらに携帯サイトからの利用は増加するはずだ。
また、2008年6月から「ポイント利用お買い物サービス」を始めた。出前館での買い物で獲得したポイントを、出前館の別店舗で利用できるサービスである。
ほかにも、待たずに商品を受け取れる「予約館」や、すぐ駆け付けてくれるサービスの検索と見積もり注文を行える「駆けつけ館」(運営委託業務)などもスタートしている。
「当面は出前館に注力し、加盟店舗へのアフターフォローをさらに充実させたい」と中村社長。核となる出前館事業の一層の強化を行うようだ。
◆「出前館」/経営=夢の街創造委員会(株)/所在地=大阪府大阪市中央区北久宝寺4-4-2/企業年商=7億円