外食史に残したいロングセラー探訪(50)中国料理浜木綿「浜木綿ラーメン」

2011.04.04 385号 08面
価格は40年前からほとんど上げていないという。あっさり醤油スープに“ラーメンミンチ”が、味を引き立てる。麺は中太麺

価格は40年前からほとんど上げていないという。あっさり醤油スープに“ラーメンミンチ”が、味を引き立てる。麺は中太麺

少人数のテーブル席から、最大60人対応の部屋がある大型店舗まである

少人数のテーブル席から、最大60人対応の部屋がある大型店舗まである

 店名を冠した浜木綿(はまゆう)ラーメンは、創業2年目の1969年からメニュー化された人気料理。創始者が子どもの頃に大好きだった、台湾の台南地方で有名な「担仔麺(タンツゥミェン)」を参考に、2年の開発期間を経て作られた。個性的な味付けの豚皮ミンチがのった浜木綿ラーメンは、またたく間に人気商品となったという。

 ◆世代を超えた家族で集う店 豚皮ミンチのトッピングに秘密!?

 浜木綿ラーメンのポイントは、通称「ラーメンミンチ」。ラーメンミンチとは、豚皮ミンチを赤ネギ、八角などの香辛料と醤油で味付けしたもの。醤油味のスープに、中太麺、ホウレンソウとモヤシ、そしてラーメンミンチがトッピングされているのが、浜木綿ラーメンである。

 ラーメンミンチは、豚皮を何度もゆでこぼし、余分な脂をすべて抜いて、脂なしのカリカリ状態にしてから丁寧に味を入れていく。独特の風味と香りを放ち、さらにピーナツ油を使用することによって、ギトギト感のないあっさりした味わいとなり、高齢のお客からの支持も強い。

 メニュー化してから40年以上になるが、麺部門の売上げでトップを誇る。

 だが、浜木綿ラーメンの次に古い麺メニューである、えびラーメンに1位の座を奪われたときもあった。えびラーメンとは、名古屋流ともいわれるピリ辛の台湾ラーメン(醤油ベースのスープに、辛く炒めたエビと豚ミンチ、ニラ、モヤシなどがのったラーメン)のこと。台湾ラーメンブームもあり、一時は王座を譲りながらも、浜木綿ラーメンは、すぐに返り咲いた。人気は強さが伺える。

 1店舗の平均で月間240食。「1日あたり8食で少ないように感じますが、ラーメン店ではない当社の業態では、ランチタイムでも単品があまり出ず、コースやセットでの注文が多いです。浜木綿ラーメンは、100種類ある単品メニューの中でトップ5に入る人気メニューです」((株)浜木綿、企画室マネージャー・山本美穂氏)

 名古屋地区を中心に展開する老舗の中国料理浜木綿は、1967年創業者の林益茂氏(現代表取締役社長の実父)が、平仮名の「はまゆう」を開店。翌年(株)浜木綿として会社を設立し中国料理浜木綿となった。

 同店の特徴は、なんといっても2~3世帯での来客が多いことだろう。時には、親族のイベントで、4世帯ということもあるという。

 22店舗の月間平均客数は約16万人。現在の平均客単価は1700円で、客単価は200円ほど下がったものの「毎月来客数は前年を上回り続けています。売上げももちろん大切ですが、増客していくことが、支持されているバロメーター。私たちは、地域のオンリーワンを目指して、少しでも多くの方に当店のおいしさを味わっていただきたいですね」(同氏)。味へのこだわりだけでなく、テーブルはもちろん、掘りごたつや座敷等のお客の要望にあわせた席や個室などを提供。地域に根差した幅広い世代に愛される同店の看板メニューとして、浜木綿ラーメンは受け継がれていくのだろう。

 ●店舗データ

 「中国料理浜木綿(はまゆう)」/経営=(株)浜木綿/本社所在地=愛知県名古屋市昭和区山手通3丁目13-1/創業=1967年(設立=1968年)/店舗数=「中国料理浜木綿」22店舗(FC2店舗含む)、「四季亭」3店舗、「桃李蹊(とうりみち)」1店舗、「チャイナワン」1店舗/浜木綿業態平均客単価=1700円

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