近代メニュー革新!繁盛レシピ研究所:ふとっぱら「ラーソーメン」
福岡に「ラーソーメン」という居酒屋の締め料理がある。博多ラーメンの細麺を氷水に放ち、醤油ベースの和風つけ汁に付けて食べるもので、「ラーメンをそうめんのように食べる」ことからラーソーメンという。
発祥は1983年。現在8店舗を構える居酒屋「ふとっぱら」の松本幸弘社長が創業時、「居酒屋の締めに最適な料理」として発案した。以降、多店舗化に伴い認知度が拡大。同業者の追随も相まって博多の新名物に発展した。
福岡はご当地料理が豊富。ゆえにラーソーメンは数年前まで地元客だけが知るマイナー料理のひとつだった。それを全国区に押し上げたのは、福岡に出入りする芸能人、おもにバンドメンバーの口コミだったという。
久々に現れたご当地ラーメンの有望株ラーソーメンを紹介する。
◆営業の概況:なんと月間2万食 ラーソーメン目当ての酔客も
居酒屋ふとっぱらは、福岡市中心部に8店舗を展開。手作りと鮮度にこだわった素材志向の創作料理が自慢だ。中でもラーソーメンは売れ筋ダントツ。来店客の8割が締めに注文し、ラーソーメンだけを目当てにハシゴで訪れる酔客も多い。注文数は全8店舗で月間2万食に達し、替え玉の注文も多く、1人2~3玉も珍しくないという。
有名になった昨今は、大手旅行代理店のツアー企画に組み込まれたり、新規出店やライセンス事業の誘致が相次いでいる。
◆特徴と調理:ヤワヤワのゆで加減がベスト つけ汁も毎日店内仕込み
調理法は極めてシンプル。博多ラーメンの細麺(生110g)をゆで、冷水でよく洗い、そうめんのように氷水に放ち、甘口醤油ベースの和風つけ汁、青ネギとショウガの薬味とセットで提供する。ポイントは細麺のゆで時間を長くすることだ。
植原淳也店舗統轄部長は「普通の博多ラーメンだと30秒ほどですが、ラーソーメンの場合は2分強はゆでます」と明かし、「冷水でよく締めるので、ヤワヤワぐらいのゆで加減がベスト。それでも『コシが強く喉越しがよい』と喜ばれています」と説く。
つけ汁は、甘口醤油をベースにカツオだしなどを合わせた濃厚な味わい。
「看板料理の誇りをかけて鮮度を徹底。各店とも当日仕込みはカツオだしを引く作業から始まります」(植原氏)という。
◆発祥と展開:30年前に発案し屋台から店舗に ロックバンド業界のお約束
発案者の松本幸弘社長は1980年、大学を中退して屋台居酒屋を創業。すぐにラーソーメンを思いついたが、屋台では水道水の確保が難しかったため断念。3年後、念願のラーソーメンを実現するため店舗出店を果たした。だが、当初はそれほど売れなかったという。
田邊麗子本部管理マネージャーは「社長の愛着と堅実な多店舗化がファン層を積み上げてきました」と語り、「ラーソーメンは当店とお客さまを結ぶ信頼の歴史でもあります」と胸を張る。
全国区に躍り出たのは、実はここ数年のこと。火付け役は福岡に出入りする芸能人、主にロックバンドのメンバーだ。翌朝6時まで営業しているため、バンドの多くがライブの打ち上げに同店を利用し、いつの間にか「福岡遠征はラーソーメンで締める」のが業界のお約束になったとか。それが口コミで県外に伝わり、ラーソーメン目当ての観光客も急増したという。
最近はラーソーメンに着目した事業誘致が矢継ぎ早だが、田邊氏は「あくまでも居酒屋の締め料理。当店自慢の料理を召し上がって、ラーソーメンで締めていただくのが原則」と控えめ。「事業拡大よりも福岡の居酒屋市場を盛り上げる新名物に育てたいですね」と抱負を語っている。
●店舗情報
「ふとっぱら」 経営=(株)レインボーカラー/本社所在地=福岡市中央区大名2-9-34 アクシブ天神ビル301/店舗所在地=天神総本店・福岡市中央区天神2-8-22 ウエストサイド天神ビル8階、他全8店舗/営業時間=午後6時~翌午前6時、無休/席数=天神総本店160席
◆エバラで再現!模擬レシピ 「ざるラーメン」を使ってやってみよう!
●作り方
「ざるラーメン」を水で等倍希釈し、つけ汁とする。
※あくまでも食べ方の提案です。本当のラーソーメンは九州の醤油ベースの甘口の商品設計です。
●使用食材:「ざるラーメン」 食欲をそそるローストガーリックの香り
中華スープ特有の“油っぽさ”を抑えた等倍希釈の冷しラーメン専用スープ。「ざるそば」ならぬ「ざるラーメン」の即戦力として大人気。本醸造醤油をベースに、鰹節、昆布などの風味原料をたっぷり使ったコクのある味。みりんが醸し出す上品なうまみ、食欲をそそるローストガーリックの香り。うまみと清涼感のバランスに優れ、つけ汁、かけ汁の両方に使える。
規格=ボトル1,580g