看板料理に学ぶヒットの秘訣:ビア&カフェ BERG「エッセン・ベルク」

2012.03.05 396号 09面
仕込み品が多いため、1日40食限定メニュー。昼過ぎには早々に売り切れる日が多く、このメニュー目当てで来店するお客は多い

仕込み品が多いため、1日40食限定メニュー。昼過ぎには早々に売り切れる日が多く、このメニュー目当てで来店するお客は多い

 ◆22坪で1日1000人超集客 参考にしたい、店主のこだわりと信念

 新宿駅東口の構内通路に面した「ビア&カフェ BERG(ベルク)」は、22坪の小さなカフェだが、1日の客数は、ゆうに千人を越える超の字のつく繁盛店だ。

 この店の看板メニューは、石釜焼きのパンに本格製法のソーセージを挟んだホットドックと、このエッセン・ベルク。8種野菜のスープ、レンズ豆のサラダ、ザワークラウト、ドイツ風クレープ、田舎風ソーセージ、豚肉のリエット風パテ、ライとサワー種の2種類のパン、これらの取り合わせで価格は714円。オリジナリティーにあふれた内容は、類似の商品が全く見当たらない。唯一無二といってよいビジュアルだ。

 しかも、パン、ソーセージ、パテを除いた他の料理は全て手づくり。素材からスクラッチで店仕込みをするというこだわりようだ。暇な店ではない。わずか3坪に満たない厨房で連日1000人を超す客数をこなしている店だからこそ、この手づくりに価値がある。

 商品を構成するパーツのひとつずつが優れて個性的な味わいであり、初めてこの商品を食べたお客にとっては、どれもが新鮮な味の印象を与えるはず。また、ソーセージやパテ類は、地方都市で地道な商売をしている職人肌の仕事が自慢の店から直接仕入れ、パンもまた石窯で焼く人気のベーカリーの品を直接交渉によって特別に分けてもらっている。

 いずれも経営者の商品に対する強いこだわりと、自信が納得できない味は売りたくないという一種のフィロソフィがなせる技と言うべきだろう。この価格でここまでこだわり抜く信念を参考にしたい。

 ●プロフィル

 押野見喜八郎(おしのみ・きはちろう) FSプランニング代表。1946年千葉県生まれ。東京ヒルトンホテルを経て外食マーチャンダイザーに転身。多数の外食専門校で活躍するほか、外食企業の商品開発、食品企業の業務用食材開発を手掛けるなど、わが国のメニュー政策指導の第一人者として知られる。「外食新メニュー実用百科」(日本食糧新聞社)など著書多数。

 ●店舗情報

 「ビア&カフェ BERG」

 東京都新宿区新宿3-38-1 ルミネエスト新宿地下1階

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