ヘルシートーク:漢方・薬膳料理研究家 阪口珠未さん
◆エイジングケア食材の最強トリオ!「くるみ・黒ごま・松の実」を取り入れて
5月に開催した「ホビークッキングフェア2026」の料理教室で講師を務めた漢方・薬膳料理研究家の阪口珠未さん。エイジングケアにまつわる食材やレシピ、これからの季節に重宝する薬膳たれ、さらに心と身体を整える5色の食材についても教えていただきました。
●「腎」はエネルギーの貯蔵庫常にチャージすることが大切
食事を薬のように使うの が薬膳です。たとえば肉には薬効があり、鶏肉は疲労回復、豚肉は身体に潤いを与えるなど種類によって異なります。身近な食材を組み合わせ、おいしく料理をつくるのが薬膳なのです。
薬膳では五臓(肝・心・脾・肺・腎)が大事になり、中でもエイジングケアに関わるのが「腎」です。西洋医学の意味とは少し異なり、身体のエネルギーを貯蔵する臓器と捉え、ここのエネルギーが枯れてしまうと老化が早く進んだり、疲労感が強くなるのです。そのため、常に腎のエネルギーが消耗しないようチャージすることが大切です。
腎にエネルギーを補給す る食材の一つが、くるみや アーモンド、松の実などの種子類。小さな種から発芽する食材にはエネルギーが凝縮されているのです。中でも、くるみ・黒ごま・松の実は、エイジングケア食材の最強トリオ。保湿や抗酸化効果、さらに脳の働きにも作用します。
今回の料理教室で紹介したのは、それらを薬膳たれに使った、朝食に最適な「アンチエイジングたれ入りマーラーカオ」。アンチエイジングたれは、くるみ・黒ごま・松の実をフライパンで軽く炒り、フードプロセッサーで粗く砕いてから、加熱したみりんに加えるだけと簡単です。冷蔵庫で1週間保存でき、アルミの保存袋に入れておけば冷凍も可能です。
40代以降になると女性ホルモンが少なくなり、骨が弱ってきます。朝、たんぱく質をとると骨密度が減りにくくなるので、朝食にはマーラーカオと野菜、さらに卵を1個加えるといいでしょう。
●発汗を抑え、夏バテを防ぐ甘酸っぱい「梅しょうがたれ」
薬膳たれの中でも暑い季節に重宝するのが、梅干しとしょうがを使う「梅しょうがたれ」。少し甘めに仕上げているのですが、酸みと甘みの組み合わせは発汗を抑え、夏バテ予防にもなります。このたれを活用したのが「夏野菜たっぷり蒸し酢豚」。蒸し上げることで胃にやさしく、トマトやズッキーニなど夏野菜を使うので、必要な水分も補えます。
冷房などにより身体の冷えを感じている時は、発汗や消化を助ける香味野菜とさんしょうを組み合わせた「麻婆たれ」がオススメです。夏の間にしっかり発汗していないと、秋から冬にかけて呼吸器系の疾患になりやすいので、辛めのたれを使った料理を食べて少しでも汗をかくといいでしょう。暑さなどで身体がしんどい時は、料理をつくるのが面倒になりがち。薬膳のたれをつくっておけば、そんな時もラクに自分を慈しんであげられると思います。
薬膳に向いている調理法は、蒸したりゆでたり、スープとして煮ること。そうすれば、胃腸や身体が弱っている時も負担がかからず、身体を整えることができるからです。蒸す際に使うせいろは、2段タイプがオススメです。2つの料理が同時にでき、そのまま食卓に出せてインスタ映えもしますからね。夫と2人で食事をする際は直径24cmのせいろ、人を招いて食べる時は28cmのものと、大きさを使い分けています。
せいろは、冷ごはんを温めたり、炊き込みごはんをつくるのにも便利です。せいろにオーブン用シートを敷き、冷ごはん、しょうゆとみりんを混ぜたものを加え、冷凍あさり、しょうがをのせて蒸すと深川飯ができるんです。1人分の炊き込みごはんをつくりたい時にお試しを。
●赤と黒の食材を意識して食べ続け血管年齢が27歳に!
薬膳には身体と心を整える5色の食材があるのをご存知ですか?色にはそれぞれ意味があり、緑の食材は自律神経を整え、エネルギーの循環を良くする働きがあります。自律神経が乱れやすい春は、アスパラガスやふきのとうなどを取り入れるといいでしょう。
心臓に関連するのが赤の食材。血の栄養と巡りを良くする働きがあるので、女性には赤の食材がとても大事です。中でもクコの実は、目に良く、エイジングケア効果も期待できます。また、なつめは、韓国や中国、ベトナムでは、女性の健康を守る果物とされています。
黄色の食材には胃腸の働きを整える効果があります。胃腸が弱い人は、とうもろこし、玄米や粟などの雑穀類、しょうが、にんにく、みょうが、ゆずの皮などの薬味を積極的にとりましょう。
白い食材は、あまり薬効がないと思われがちですが、実は免疫力を高める働きがあるのです。カリフラワーや梨、大根、ユリ根などは、肺の働きを高める効果があります。また、肺と皮膚はつながっていることから、肌に潤いをもたらします。
黒豆、黒ごま、ひじきなどの黒い食材は、先に述べた「腎」を強くし、生命エネルギーを高め、脳の働きを良くする効果もあります。日頃から、大豆ではなく黒豆、白ごまではなく黒ごまなど、黒い食材を選ぶように心がけるといいでしょう。
いま、私は50代ですが、血管年齢は27歳です。子どもの頃、小学校の朝礼で真っ先に貧血で倒れてしまうほど弱い体質だったのですが、薬膳を始め、とりわけ赤と黒の食材を意識して食べ続けていたら、丈夫な身体になったんです。若々しさを保つためにも、赤と黒の食材を積極的に取り入れてほしいと思います。
●プロフィル
さかぐち・すみ 株式会社漢方キッチン代表。文科省国費留学生として北京中医薬大学で中医学を学び、同大付属病院にて臨床と薬膳レストランで料理を学ぶ。清代の西太后の宮廷薬膳を研究。帰国後(株)漢方キッチン設立。東京・恵比寿にて薬膳スクールと薬店を主宰。著書に『老いない体をつくる中国医学入門』(幻冬舎新書)、『からだのトラブル解決ごはん薬膳せいろ蒸し』(自由国民社)など多数。ポッドキャスト「百年ごはん」で100年使える身体をつくる養生について語っている。
●New Book
『からだのトラブル解決ごはん薬膳せいろ蒸し』
阪口珠未著/自由国民社定価:1870円(税込)















