外食史に残したいロングセラー探訪(90)サンドウィッチ ルマン「たまごサンド」

2014.10.06 427号 08面
親子3世代にわたってファンも多い

親子3世代にわたってファンも多い

 ◆あふれそうなフワフワの卵 秘伝のマヨネーズソース

 宝塚歌劇団の本拠地、宝塚大劇場の対岸に、創業50年になる「サンドウィッチ ルマン」がある。ダントツの人気を誇るのが「たまごサンド」。パンからあふれんばかりに入っているスクランブルエッグは、自家製マヨネーズとあえ、ふんわりとして口溶けがいい。タカラジェンヌたちにも愛好者は多く、地元だけではなく、遠方からも人が訪れる人気店である。

 ●商品の発祥:たまごサンドが頭から離れない

 はじまりは、創業者の(たが)史子さんが、25歳の時、神戸で卵サンドを食べたこと。「こんなにおいしいものがあるのか!」と感動し、心に秘めていた。忘れることのできない「あの卵サンドを皆さまに味わってほしい」という情熱から、東京五輪が開催された1964年、36歳でサンドイッチ専門店を開業した。

 開店当初は、思うように売れなかった。サンドイッチ専門店は、まだなじみのない時代。軌道に乗ったのは、「学校の役員をされていた、あるお母さまのおかげで、お子さまの通う私立学校のイベントや会合などで食べていただきました。それをきっかけに、道が開けました」とさん。ファンが広がっていった。

 ●商品の特徴:たっぷり入ったふんわり卵

 たまごサンドの特徴は、軽く焼いたパンに挟まれた、あふれんばかりに入ったフワフワのスクランブルエッグ。直径40cmのフライパンで、一度に卵50個分の巨大スクランブルエッグを作る。ほぐしながら半熟に焼き、熱が入りきる前に火からおろし、フライパンを返して、2~3分蒸らす。そこへ、自家製マヨネーズを加える。

 自家製マヨネーズには、粉がらしやゆで卵が入り、毎日、一斗缶1個半~2個半分も作る。さんと息子さんしか作れない、サンドイッチの要になる秘伝の味だ。

 ●販売実績:卵1日600~800個!

 店頭には、人気のフルーツサンドやカツサンド、野菜サンドなど約30種が並ぶ。1番人気のたまごサンドは、1日に約150~200パックほど出る。

 同店では、それぞれの具材に合わせたパンの厚さ、焼き加減を工夫し、細部まで手を抜かない。たまごサンドのパンは、軟らかな卵との相性から、9枚切りと少し厚め。

 御年86歳のさんは、今も、厨房に立ち、作り方を指導し、味わいを支える。「ルマンのおいしさは、確かな技術と心を商品に入れているから。それを伝えるためにも、出来るだけ厨房に立って、伝えていきたい。作らせてもらっている毎日が楽しい」と笑顔で語る。

 ◆企業データ

 社名=(株)ルマン/本店所在地=兵庫県宝塚市南口2-12-14/店舗数=宝塚南口本店他に「花のみちセルカ店」がある。昨年、テレビでの紹介時に、人気芸人に絶賛され、客数が激増。対応が難しくなり、花のみちセルカ店は休業中(2014年8月取材時)。10月から再開予定。/事業内容=サンドイッチ専門店。宝塚南口本店は、持ち帰りのみ。花のみちセルカ店では、飲食ができる。

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