メニュートレンド:ニューヨーカーのB級グルメを日本版に 「ベンダーチキンオーバーライス」
ニューヨークのランチタイムに欠かせないのが、「ベンダー」と呼ばれる屋台。市内の公園やオフィス街のほか有名ホテルの前の道路にも並び、ニューヨーカーや観光客でにぎわっている。ベンダーで販売しているものはホットドッグ、ベーグル、ドーナツなどさまざまあるが、中でも断トツ人気なのが「チキンオーバーライス」。日本にいち早く上陸させたチキンオーバーライス専門店が話題だ。
●早い、安い、うまいの3拍子 アボカドがキーアイテム
「チキンオーバーライス」はトルコ料理にルーツを持ち、サフランライスの上に、スパイスで味付けして炒めたチキンやラムをのせ、レタスや玉ネギなどの野菜を添えて、チリソースやヨーグルトソースをかけたもの。人種のるつぼといわれるニューヨークで人気なだけに、エスニック、アメリカン、ハワイアン、メキシカン……などさまざまなテイストがミックスされたメニューだ。
このメニューをいち早く日本に紹介したのが、「ベンダー×キッチン」の村田洋佑氏。たまたま目にした本でチキンオーバーライスのことを知り、「これは売れる!」と一目ぼれして、メニュー開発のためにニューヨークへと飛んだ。
ニューヨークの味をそのまま日本に持ち込んでも、日本人の味覚には合わない。まずライスをパラパラのタイ米から国産米に変え、コメにうるさい日本人向けに。チリソースはニューヨーカー好みのホットなものから、ややマイルドな味に変更。ヨーグルトソースはヨーグルトをベースに牛乳、レモン汁などを加えた酸味のあるホワイトソースに仕上げた。ソースは2種類とも、業務用商品を使用せず、手作りで微妙な味を出している。
オペレーションは、まず「企業秘密」のスパイスで味付けした鶏むね肉と鶏もも肉、玉ネギを鉄板の上で焼き、食べやすい大きさにカットする。ターメリックと一緒に炊き込んで色と香りを付けたライスに炒めたチキン、玉ネギをのせ、サラダ、マッシュポテトを添え、チリソースとホワイトソースをかける。注文を受けてから提供までは約3分。テークアウトも行っている。
当初はこれをメーンに提供していたが、アップバージョンさせた「ベンダーチキンオーバーライス」を開発。アボカドとレッドチェダーチーズをトッピングし、手作りピクルスをプラスした。アボカドをのせることで見た目のインパクトだけではなく、ソテーしたチキンやターメリックライスと合わせて食べることで味に変化を付けるのが狙いだ。
村田氏が特にこだわっているのがアボカドの品質。「持ったとき、手のひらに吸いつくようなしっとりとした感触があるもの、皮の表面がテカテカとツヤのあるものが食べ頃の熟成具合。見栄えがするように大ぶりのものを選んでいます。アボカドはもうけ抜きで、良質ものを仕入れるようにしています」と言う。「ベンダーチキンオーバーライス」はスタンダードタイプより200円高いが、現在はこちらの方がよく出ている。
「牛丼とハワイアン・ハンバーガーの中間層を顧客ターゲットとしたファストフード店を目指しています。牛丼ほど“男飯”ではなく、女性一人でも入れて、男性も満足できるボリューム感ですね」と村田氏。現在、三田、日吉、関内などに5店舗を展開し、新しいファストフード業態として注目を集めている。
●店舗情報
「ベンダー×キッチン」 経営=ケーエムカンパニー/店舗所在地=東京都港区芝5-14-16/開業=2014年6月/営業時間=午前11時~午後10時、日・祝定休/坪数・席数=10坪・15席/1日平均客数=約160人/平均客単価=680円
●愛用資材・食材
「明治ブルガリアヨーグルトLB81プレーン」 明治(東京都江東区新砂)
程よい酸味が決め手
本場ブルガリアのLB81乳酸菌と良質な乳原料のみで作られ、整腸作用により特定保健用食品に認定。発売以来40年の歴史を持つ。「チキンオーバーライスはスパイシーとサワーの2種類のソースをかけて食べるのが定番。このヨーグルトの程よい酸味は、うちの『ベンダーチキンオーバーライス』のホワイトソースをサワーテイストに仕上げるのに欠かせません」と村田氏。
規格=450g