クローズアップ現在:「プニカタ」「ばりむに」 新食感グルメ人気の背景
むにょかた・ばりむに・よわふわ・カリとろ・ザクジュワ…一種類ではない合わせ技の食感を持つ食品が若い女性中心に人気だ。新食感のグミが次々と登場しているが、近年の食のブームは女子が牽引することが多く、物販と外食の境界線も薄くなっている昨今だ。食感で個性を演出する手法は、外食業界のメニューにも取り入れやすいのではないだろうか。
●新食感ブームの牽引はグミから
“食感の代表格”ともいえる「グミ」は、市場拡大とともに毎週のように新商品が発売されている。最近の傾向は食感に一層こだわりを持つ商品が増えたことだろう。例えばカンロから発売されている「ぷちむにょるグミ」は、商品名からして、昭和世代にとっては謎めいている。噛んでいる途中でプチっと切れないバウンド食感がウケている「むにょるグミ」をより食べやすいサイズに小粒化し、さらにオレンジソーダ味、ぶどうソーダ味、ホワイトソーダ味の3種のアソートにしており、それぞれのフレーバーは味だけでなく形状も異なる。さらにもう一種、レア型として、「むにょむにょくん」という種類も入っているようで、見つけた時の楽しみも残すように演出した袋入り商品だ。
●新商品グミにみる「客の食に求めるニーズ」
なぜ、小粒化、さらにアソートなのか。そこには若者世代の「口の中で長い時間楽しみたい」「食べた後に何度も驚きや変化が欲しい」といった昨今のニーズがある。一個だけを楽しんだり、フレーバーを合わせて数個頬張ることで、さまざまな食感や味わいを選ぶことができる。
また、それぞれのグミの形状も特徴的だ。シンメトリーではなく、むしろ高低差があり、いびつな形状をしているため、噛む場所によっても異なる食感が楽しめるようになっている。さらに、その形状は“癒やし系”だ。かつて“ゆるキャラ”が大ブームとなった時代よりも、どこかほっとするような気持が柔らかくなりそうな形状のキャラクターは、食品以外にも人気になっている。学生に接していると感じるが、先行きが見えない不安や、毎日のやるせなさが、若者の間にもあるのだろう。
かわいさの基準は日々変化しているのだが、流行りの食品を見ると、そこに求める可愛さの価値というものも見えてくる。
UHA味覚糖の「グミだま いちご」は、外側が薄い飴状の球体で中にはむにゅっとした食感のグミが現れる作りだ。最初に噛んだ瞬間のバリッとした飴の歯応えが新感覚といえよう。実はこの食感タイプは既に日本人が屋台のりんご飴でも経験している懐かし食感のアレンジともいえる。
「映え」から「食感」へ人々の興味は広がっているとともに、グミひとつにもエンタメが求められている。また、若い人にとってはその楽しさを友人同士で教え合ったり話題にしたりする楽しみもあるのだろう。食品がコミュニケーションツールとなっているのである。
若者だけでなく、チューインガムは噛むことでリラックス効果があるとされているが、グミも同様にゆるさと噛み応えの両面から、気分転換が図れると職場でも人気が高い。新食感ブームには、こうした多くのニーズが背景にあると考えられる。
●カフェで味わう“新食感”
グミ以外でもコンニャクを細長くカットした「熱狂蒟蒻 ひとくち麻辣湯味」(モントワール)や、ロッテのビスケット「The BUTTER」など、口に入れた後に食感が変わる食品は続々と増えている。
こうした「新食感」ニーズ商品は、カフェでも味わえる。東京にある「香港物語スイーツ 四ツ谷店」で提供される“新食感スイーツ”「楊枝甘露」は、マンゴーとココナッツミルクを合わせたとろみのあるジュースの中に角切りマンゴーやグレープフルーツと話題の食材「サゴ」が入っていて、一杯でさまざまな食感を楽しめる。サゴは、サゴヤシから採れるデンプンが原料のモチッつるんとした食感のタピオカよりも小粒の粒状食品で人気だ。
●完結型エンタメとコミュニケーション
日本人はさまざまな食感を区別し、繊細に感じ取る舌や喉を持っていると考えるが、一つの食品で多くの食感を味わいたいニーズは個食時代ならではといえるのではないか。シェアなど面倒なことをしなくても、自分だけで楽しみが完結できる。そしてその楽しさを他人と共有したり、SNSにアップする、といったコミュニケーションの方法が“新食感”には伴う。
ある程度“映え”にも限界はある。食感に視点を広げることで、食べることへの楽しみや話題性、さらには人とのコミュニケーションも追加されるようだ。
●食感の組み合わせ外食にどう生かすか
筆者は長年自分の教室で、食感にこだわり、さまざまな食感を味わえるようなスイーツを作っては生徒に提供してきた。
「これにこれを合わせるなんて絶対思いつきませんよ。すごく合うんですね。ビックリ」「これ売ったらものすごく売れると思います!」など評判がいい。飲食店のメニュー開発においても20年前から食感にこだわり、食感で驚きを感じてもらうようなメニューを作ってきた。ヒットメニューも少なくない。
新食感メニューを作るのはさほど難しい手法ではない。筆者の場合は、「この食感にこの食感、この味にこの味を組み合わせると面白いのではないか」と想像し、食べ進めると飽きてしまいがちなものに飽きさせない工夫を、と思うことで次々にアイディアは出る。無限に出る。食感に対する複雑さを求めることは、主に女性の思考だと考える。男性はむしろ安心・安定の食感を好むのかもしれない。しかし外食で無料で宣伝してくれるのも主には“女子”だ。意外と簡単にできるし、もちろんスイーツ以外でも可能なので、外食でも話題性のあるメニューとして取り入れてみるのもおすすめだ。
(食の総合コンサルタント トータルフード代表取締役 メニュー開発・大学兼任講師 小倉朋子)















