本紙限定業界ネタ:ワタミフード、退職金やめ独立支援

2000.05.01 203号 21面

ワタミフードサービスが退職金制度を廃止する方針を発表した。やはり渡辺社長はしたたかだ。

退職金の代わりに、会社のライセンスを与えるという考えは素晴らしい。

お金をかけずに社内の活性化ができるだろう。成果配分以上に説得力のある賢明な方法だと思う。

アトムボーイも、社員をオーナーにして店を持たせるオーナーズシステムを構築したことで、今日の上場までこぎ着けた。

いま問題視されているのが直営店の限界だ。昔のように、従業員にハングリー精神がなくなってしまった。

かつては株式上場や店舗数の達成、「地域社会から認められる」「業界のレベルを上げる」といった美辞麗句がいっぱいあった。自分の店は全国チェーンだというプライドに支えられ、燃える人はたくさんいた。しかしいまはチェーンなどつまらないという。

「成果配分をやるから店のために一生懸命やれ」と店長に言ってもピンとこない。でも自分の名義で、売上げも自分のものになるとなると、人間はものすごくやる気が出る。

「自分の欲との二人三脚」という本音の部分に、ダイレクトに働きかけないと人は燃えない。

これからは本音の時代だ。オペレーションのシステムよりも、店長や社員の意欲をかき立てるというシステムをつくることが大事な時代になってきた。

これからのチェーンの経営者は、こうした発想がなければいけない。

課題は、ライセンスを与えたら、本部とオーナーという関係になる。店長の資質とオーナーの資質は次元が違うものだから、いかにその人間性を見抜き、アフターケアができるかが成功の秘けつだろう。

(榊芳生)

ワタミフードサービスは3月末で退職金制度を廃止すると発表した。給与体系は変えない。今後は傘下の子会社を増やしグループを拡大する。社員には、子会社間の転籍やフランチャイズ店の独立を支援していく。3月1日付で東証第一部に上場。二〇一〇年には、一〇〇〇店舗達成、五〇社の企業グループを掲げている。(編集部)

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