御意見番・岐路に立つマクドナルド:永嶋事務所・永嶋代表

2000.05.01 203号 5面

外食業界はこの五年の間に大きな変化が起きたと思う。五年前、天狗などの居酒屋がまだ頑張っていた。しかしいま居酒屋の株価は下がっている。ファストフードも「39セット」など価格競争を仕掛けたマクドナルド(以下マック)の一人勝ちとなった。

マックのウイークポイントは、プライスゾーンの一九〇~二九〇(当時三八〇)円の間にポツポツとしか商品がなかった。一方モスバーガーは二六〇~三〇〇円のプライスラインに商品がたくさんあった。それが三〇〇円を超えてしまい、マックのプライスの中で勝負する相手がいなくなった。モスは価格政策を見誤った結果、競争力がなくなってしまった。

ではなぜバーガーを半額の六五円で売るかというと、コンビニのおにぎりをターゲットにしているからだ。

私の知り合いのビジネスマン(平均四〇歳)一〇人にアンケートを取った。うち三人が六五円のハンバーガーを二個買い、缶コーヒーを買った。四人がバリューセットを買った。三割のおじさんが、ビジネス街で六五円のバーガーを憶面もなく買うようになっている。

しかしマックにとっては六五円はおとりで、サイドメニューを取らなければ利益は出ない。日本人は見栄と外聞の民族だから、単品だけを買わないだろうという読みは当たらなかった。

三人は「安く買えることが快感だ」という。また「普段マックを食べているか」と聞くと、食べていなかった。だがこれをきっかけに常食するとは思えない。日本人ほど雑食民族はいないし、志向もヘルシー、ナチュラルに変化している。

マックは外食市場三〇兆円の三%、一兆円を取ると言っているが、今後もハンバーガー一本でいく方向性なら、モスを買収するかもしれない。五年前の株価を思い出してほしい。その時何が隆盛で、いま何が下がったか。この時代転換を考えると、マックが果たしていまの価格訴求だけで一兆円取れるかは疑問だろう。

問題は、既存店の下げを止められないことだ。五年間で代替わりし、ファストフードに代わってセルフ式のカフェが伸びてきた。

カフェの参入が盛んなのはフードコストが低いからだが、中にはドトールのように銀座で売上げの五〇%の家賃を払っても利益を出しているところがある。

そうなると、家賃七万~一〇万円まで容易に出られるということだ。いままでの五万円がファストフードの最上位、カフェは三万円という不文律を容易に踏み込んで来る。

早くドリンクステーションの強化やドリンクの質の向上をして、スターバックスやドトールに行ったマックの卒業生をドリンクで取り戻さないといけない。

しかし、カフェマクドナルドはまだ実験段階で、儲けの構造になっていない。マックはまだ本気でドトールを超えようとしていない。

米国のマックではエスプレッソやラテを置いている。これが二ドルで、ハンバーガーとサイドメニューを足して五五〇円で売られたら、ドトールのカフェクロワッサンなどは対抗できなくなるはずだ。

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