料理人の教育法(6)玉ひで・山田耕之亮社長

2001.04.02 225号 11面

「洗いものと掃除が一番大切だと思うな」と、鶏料理の老舗「玉ひで」の八代目山田耕之亮社長。食器だけでなく什器類も洗いものがきれいに素早くできなくては、いくら料理だけできてもダメだという。

洗いものの仕事は、地味でつらい。しかし続けることで、次第に道具が手になじんでくる。たわし、スポンジ、スチールたわしなど、どんな道具を使うか、どこを洗うかを、よく見極めなくてはいけない。

「例えば、まな板を洗う時、表面ばかりきれいにする人がいるが、表面は料理中、だれでも常にきれいにしている。普段は忘れがちな縁をきれいに洗うことが大切」と、八代目はいつも若い料理人たちに教える。

スピードと臨機応変な姿勢が重視される厨房では、無駄な動きは許されない。鍋がきれいな飲食店も多い中、玉ひででは「鍋はピカピカにするな」が八代目の口癖。道具は手を掛けすぎる必要はない。鍋は磨きすぎると、かえって料理に金属臭がつくという。

「先輩に『ボウルを持ってこい』と言われて、洗ったままで持っていけばよいのか、きれいに拭いて殺菌スプレーして持っていけばよいのか、洗ってラップを敷いて持っていけばいいのか、判断できなくてはいけない。作っている料理が今どの段階か分かるようになればそれも可能」

厨房内で周りの人間がどういう動きをしているのか見えるようになるまで、先輩の動きを研究しながら、洗い物をする。それが料理人の基礎となるのだ。

◆「玉ひで」=東京都中央区日本橋人形町一‐一七‐一〇、03・3668・7651

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