名古屋版・繁盛店ルポ:「後藤家ねね」

2001.04.16 226号 23面

自然食を中心とした日本料理店「後藤家ねね」。無農薬にこだわりながら「伝統を大切に今を織り込んだ」創作懐石料理で話題を集めている。

席数一〇〇席の店内は、「千利休の心」をイメージし、建築の現代作家七人が手がけたものだという。「ねね」とは、太閤秀吉の妻で、千利休と同時代を生きた代表的な女性、北政所ねねから取った。メルサが女性に人気のスポットであることを意識した名前だ。

「自分が食べておいしいと思うものだけを、お客様にも食べていただきたいですね」と話す後藤宏之社長は、体にやさしい食材探しにひたむき。

コースメニューのご飯は「秋田小町」をベースに、岐阜県・春日村の黒米と秋田県・八郎潟の玄米を混ぜ合わせ、栄養バランスがよくミネラルや繊維質も豊富。一見すると赤黒く赤飯のようだが、食べてみるともちっとした食感に、普通の白米にはないひかえめな甘さとコクが隠れている。

「その季節で一番おいしいものを食べてもらいたい」という後藤社長の思いがつまった「かおり膳」(一八〇〇円)は、ダイエットメニューとして若い女性に評判。ヒジキの白かけや山菜天ぷら、無農薬サラダ、ごまあえなど、旬の野菜をふんだんに味わうことができる。

オーガニックの店を始めたのは日本料理が素材の味を大切にし、おいしくヘルシーであることと、「ほかのひとよりも一歩先のことをやりたい」という強い気持ちからだったという。

「体に優しい食材を使い、医食同源という発想で九一年からやってきました。無農薬や有機栽培にこだわっていますが、こだわりが強いというよりも、食材にしても調味料にしても食べてみておいしく安心でなくてはいけません」と語る後藤社長の顔に、これだけは譲れないという厳しさがうかがえた。

◇売れ筋ベスト3品

1位=かおり膳(一八〇〇円)

2位=味噌鍋(三〇〇〇円)

3位=ミニ懐石(昼二八〇〇円、夜三五〇〇円)

◇いちおしの飲食材

「素材や味具合によって三種類の白醤油を使い分けています。無農薬・有機栽培の食材を使っているので、白醤油も添加物の入っていないものをといろいろ探したところ、日東醸造さんの白醤油に巡り合いました。この醤油のよいところは調味料を使わなくても、白醤油自体が素材の味を十分に生かしてくれます。また、白醤油のもつ独特の風味がうまみにつながります」

◆「後藤家ねね」(岐阜市神田町六丁目一二番地、岐阜メルサグルメ館四階、電話058・264・0201)営業時間=午前11時~午後10時、年中無休

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