話題のフードコートが人気 屋台村をグレードアップ、低価格志向が受ける

1994.04.04 49号 8面

同一空間内に多様な業態を集約するレストランサービスが増えてきている。“屋台村”などはその代表的なものだが、最近は屋台村をグレードアップした形の「フードコート」(FOOD・COURT)が登場、消費者に利便性を強くアピールしている。

同一空間内での飲食ビジネスといえば、デパートやショッピングセンターの“グルメ街”などが古典的な例だが、しかし、これらの業態は一店一店が独立した形になっており、単に複数の店を一つのフロアに集約したという形のものだ。

屋台村は縁日的な雰囲気で、文字どおりに業態の異なる複数の屋台を出店した形態のものだが、一方においてはブーム的に登場してきた嫌いもあり、料理の質やオペレーションがしっかりしていないところは、後日、消費者に飽きられる可能性もある。つまり、一つの業態として確立できるのは少数派になるということだ。

この点、フードコートはハード面でも恒常的な施設形態にあり、同じ集合型のレストランサービスでも、屋台村などとは異なった出店形態をみせている。

フードコートとはもちろん、複数の飲食店舗を同一空間に集約した出店形態のものだが、これにはいくつかのパターンがある。

まず、施設面のハードについては、共有の客席を囲む、あるいは対面するような形で店舗を集約しているというケース。もう一つは、キャフェテリアサービスで店舗ごとに客席を設けている場合。

大まかにみて、この二つの形態に分けることができるが、この業態は基本的には「セルフサービス」の運営形態で、マスセールを意図した店舗オペレーションだ。

提供料理はどういうものか。これはファストフードやスナックメニュー、デザート類、たとえば、ハンバーガーやフライドチキン、クレープ、うどん・そば、ラーメン、焼きそば、カレーライス、アイスクリームなどといったものだ。

もう一つは、丼物かプレート料理など、和・洋・中のメニューを提供するというもので、いわば軽食からディナーメニューまでをラインアップするというメニュー政策だ。

この業態はいずれにしてもマスセールの運営システムにあるので、メニュー単価は五〇〇~一〇〇〇円前後と低価格志向だ。

マスセール、低価格志向の運営システムというと、それだけ立地や施設形態の面でも集客力が大きくなくてはならないわけだが、施設形態の面でみれば、ショッピングセンターや複合都市ビル、レジャー施設というケースが目立つ。

つまり、これら施設を利用する消費者やビジネス客をターゲットとして、“マスフーディング”のレストランビジネスを展開するということだ。

このため、別項のロイヤル、ダイエーのケースのようにフロア面積が三〇〇~四〇〇坪以上と規模が大きいものが多く、多業態出店で短時間内に多人数が収容できるという機能を発揮している。

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