酸性水 食中毒予防に威力、日本閣観光導入後無菌に近い状態
食中毒予防に酸性水による殺菌技術が注目を浴びている。
水道水を電気分解して陽極側に出た酸性水のことで大腸菌、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌などの食中毒菌を瞬時に死滅させる強力な殺菌力をもっている(財団法人日本食品分析センターのデータ)。
《1年のテスト期間》 日本閣観光㈱(東京都中野区、03・3367・2222)は、四年前から一年間テスト期間をもち、確かな良好な結果を得て酸性水の使用に踏み切った。
「塩素系消毒液を利用していた時も、毎月、食中毒の検査を行っていたが、必ず毎月食中毒の菌は厨房内、食材に付着していた。しかし酸性水にかえてからの検査は使用後ほとんど無菌に近い数字が出ている」(調理部部長・石塚隆氏)
魚肉食材は三回ぐらい酸性水の流水で洗浄し、野菜はアルカリ水の方で殺菌している。その結果①ニオイの残留はない②変色しない③味覚が落ちない④手はあれない‐‐という。
厨房取材をした時、魚の一次下ごしらえの厨房は魚の特有のなまぐささの匂いはなく、野菜もザブザブと洗浄されて新鮮さを保ち、ふきんは酸性水にて浸水殺菌されていた。洗浄された魚や野菜で調理した料理をテーブルまで運ぶのにカートに並べ、カート全体をラップで囲みほこりの付着を防ぐ。何部屋もある厨房全体に不潔な匂いも、汚れたところもなく、清潔感があふれていた。
《手指殺菌にも最適》 わが国では、なま物を好んで食する。特に大人数分の食事をさばく宴会場では、新鮮であることはもとより、衛生的であることが最も要求される。食中毒の九〇%は細菌性食中毒であると報告されており、「安心して積極的な衛生管理」が必要とされる。
酸性水は初期段階の菌(初発菌)を洗浄と制御をしながら調理ができる。二次汚染の一般生菌は、食品そのものに付着している菌より数値は高く極めて危険である。現在は食品、器具類を調理・洗浄するのは井戸水、水道水が主流であるが、十分に菌の流出、殺菌は出来ない。
食中毒の王座を占めるブドウ球菌による食中毒の主染源とみられる手指の殺菌にも酸性水は最適であり、さらに煮物のだし汁用に酸性水を使用すると、食中毒菌予防に役立つと万能のため、今後も酸性水の導入は広まるものと思われる。