地域ルポ 二子玉川園(東京・世田谷)(2) 駅密接のFF村
歩道が混雑する最大の理由は、国道二四六を渡って対面の玉川高島屋ショッピングセンターに向う買い物客、あるいはそのリターン客の往来が激しいからだ。
一日平均で約五万人前後が同ショッピングセンターを利用する。
このショッピングセンターは、本館をはじめ東・西・南・北の四館と玉川高島屋(デパート)の施設から成っており、東急沿線からの買い物客を吸収している。東急の電車を活用して、高島屋がモノを売るという“庇を借りて母屋をとる”という図式だが、東急としては東口の再開発事業によって、ぜひともグループとしての百貨店が欲しいところだろう。
それはともあれ、高島屋は本館地階に北浜、藪そば、アンナミラーズ、新橋亭、銀座トリコロールなど和洋中、喫茶一四店、一~三階にカフェフーケ、つばめグリル、コーヒーミキ、ジャルディーノなど五店、西館一階に寿舞留、そば処きたはま、元祖札幌や、鮨處つきぢ萩の四店、南館一階リバーサイドテラス、四階カフェシティ、六階に銀座天一、鮨處つきぢ、アルテリーベ、カフェマジコなど、和洋、喫茶一〇店、東館地階には地域でも広く知られた洋食と喫茶の菩堤樹がそれぞれ出店している。
このほか、玉川高島屋には一階資生堂パーラー、四階梅園、六階特別食堂に大阪・まつ本、資生堂パーラー、原宿・南国酒家、お好み食堂にまつ本、利久庵、ローズ、南国酒家の九店が入居しており、総計で三七店が出店するという一大飲食ゾーンを形成している。
これらショッピングセンターの北および西側は二子玉川商店街(店舗数約三〇〇店)になっており、新旧の小売店舗に加えて、エスニックや大皿料理、ヘルシー志向のレストラン、居酒屋など感性の高い飲食店も点在しており、回遊性のあるエキサイティングな商業ゾーンを形成しつつある。
西口は駅通廊(広場)に接して、駅を背に右手に東急ストアが展開している。この周辺には露店(ワゴン)も出ているので、買い物客と駅利用客がぶつかって、まるでバザールかお祭り広場という賑やかさで、東口とは対象的なシーンをみせている。
しかし、駅広場前面に片面二車線の国道二四六号線が横切っているので、物理的に面の拡がりはない。この国道に沿って、ケンタッキーフライドチキンやマクドナルド、ピザスタジオ、ミスタードーナツなどのファストフードレストランが軒を並べており、そのハデな店舗ファサードが、さながら“FF村”という様相を呈している。
駅に密接している立地条件ということもあって、常にティーンズや二〇代の若い男女、ファミリー客で店は大入りという状況にあり、店の横の歩道を通り抜けるのもひと苦労するという混雑ぶりだ。
これらFFレストランや東急ストアに取り囲まれるような形で、二階建ての「DOGWOOD PLAZA」(ドッグウッドプラザ)が展開している。やはり集客力の強い施設で、一階にニューホブソンズ、ラケル、エアリーボストンクラブ(ショットバー)など感性の高い飲食店舗、二階にはT・P・O、アメリカンギャラリ、TEE WORK SHOP、SPOD BOX、GITANES CLUB、J・HOUSEなどの衣料、ファッションショップが出店しており、とくに若い男女が利用するデートスポットとして賑っている。