厨房のウラ側チェック(16) 食品添加物の手品(その5)
食品添加物の具体例として、今回は食用タール色素一一品目についての文献調査データを述べる。
食用タール色素は、食用赤色2号、同3号、同102号、同104号、同105号、同106号、食用黄色4号、同5号、食用緑色3号、食用青色1号、同2号の一一品目と、1991年に食用赤色40号が食品衛生調査会の審議をパスし、追加承認されて、合計一二品目になっている。
これらの商品における表示は、簡略名で赤2、赤106、黄4、青2などになっている。また、これらのタール色素のなかには、アルミニウムを配合して、水に溶けない性質にした「アルミニウムレーキ」付きの色素も使用されている。
着色料は、食品を美化し、魅力を増すものと定義されている。これは添加物をできるだけ使用しないことが好ましいという考え方からすると、本来、必要性はないものである。
さらに、合成着料としてのタール色素は、安全性に不安が残り、諸外国では使用されていない物が多い。しかも、着色料の使用は一部の食品を除いてフリーで商品に合わせて好みの色を作るため、必ず数種類の着色料が使われている。
これから、各々の着色料について説明するが、一番大事な考え方と行動は、消費者一人一人が表示をチェックして、不必要な着色料が入っている商品は購入しないことである。特に、子供や妊産婦等は摂取しないこと。
食用赤色2号、別名アマランス、この色素は赤褐色から暗褐色の粉末で無臭であり、水に溶けるが、油脂には溶けない。急性毒性はマウスの経口投与でLD5010㌘以上、慢性毒性、突然変異原性、繁殖性、催奇形性については、対照群との間に有意差が認められなかった。しかし、本色素の代謝産物として知られるナフチオン酸ナトリウムは、30㎎/㎏投与群で胸骨以外の骨格異常仔をラットで有意に増加させた。
ガン原性では、ラット五〇匹を一群として、赤色2号を飼料中に0.8%から1.6%添加したものを二五ヵ月投与した結果、一九ヵ月目に腹膜及び腸管腫瘍が一八匹に現われ、二五ヵ月までに一一腫瘍が見つかった。
また、雄ラット五〇匹に赤色2号を二%添加した飼料を三三ヵ月投与した結果全匹数が死亡した。腫瘍は六ヵ月から現われ、二一ヵ月から二三ヵ月目にはリンパ肉腫、腺線維腫、腸管ガンなどが発生した。
アメリカのFDAにおける実験から、赤色2号の高投与群の雌ラットでは、悪性腫瘍に有意な増加があるとして、FDA長官は一九七六年に食用赤色2号を食品、薬品、化粧品に使用することを禁止したboffeyの報告書がある。
その他の試験で、Predaは、ラットに本色素3㎎/日を飼料に混入して五四五日間投与したところ、肝臓に空胞発育異常や脂肪変性等の変化を認めている。(次号につづく)
食品衛生コンサルタント
藤 洋