企業直営(FC)を拝見 サントリー・UCC上島珈琲「プロント」
プロントはサントリー、UCC上島珈琲が共同出資(資本金一億七〇〇〇万円、出資配分サントリー五五%、UCC上島珈琲四五%、会社名・㈱ブレス)で作られた店である。現在、直営店三店舗、FC店四八店舗の規模となっている。
この店の最大の特徴は一店で、時間を分けて、両社の特徴を出し合うということである。UCCはコーヒー、サントリーは酒類、この特徴をいかに出すかということである。結論は昼はコーヒーショップ、夜はショットバーにする二毛作店である。プロント側では、昼と夜の二つの顔をもつ店、二一世紀型店舗と位置づけている。午後五時から、ショットバーに変身する。カウンターのたなは、コーヒーとウイスキーが置ける、まわり舞台のようになっており、簡単に変身できるようになっている。
一店舗の客の入り状況をみてみると、喫茶店の場合は、朝8時にモーニングタイムとなって、客が入り、昼の12時にピークとなる。それ以降は漸次、客足が減少してくる。
パブ、スナックの客の動態をみると、ピーク時は、夜8時から11時となっており、今回のプロントは、これを連結しようという発想。店側は、昼はコーヒーを飲み、夜はウイスキー、またはビールを飲むという一日、二回きてくれる客もある。メニュー価格も、低価格でおさえている。
例えば、昼のコーヒーは一六〇円で形態は、コーヒーショプと同じスタイルである。夜はウイスキーでトリス・シングルで三三〇円、ビールの場合、モルツ生ビール(四二〇㍉㍑)四三〇円、一番高いメニューでも、ザ・マッカラン12年(シングルモルト)一〇〇〇円である。
プロントを運営している㈱ブレス(東京都中央区銀座五‐五‐一八、℡03・3571・8531)の社長・本名正二氏は、「九〇年代は、人々が時間の過ごし方、ライフスタイルの充実に従来にもまして、心がけていくことは明らかである。このような流れの一環として、『飲食』も同様に人々の生活の中で重要な位置をしめていく。そして人々は飲食店の利用に際し、いつも自らの知識や経験から、もう一度利用する価値があるか否か、明確に審判を下す。この厳しい審判の前では、旧態依然の経営感覚や小手先による経営手法では、来客数減の現実しか到来しない。このため、今後の飲食店は、このような審判に耐えられ、あるいは、人々に逆に提案ができなければ、生き残っていけないといっても過言ではない」と語っている。
同店の特徴は、いくつかあげられる。昼は、日中忙しいビジネスマンやOLの人達には、スピーディーにサービスすることが第一。そのため、昼はセルフサービスを採用、ピーク時に集中的に来店される客に対しても一人一五秒以内で対応している。
▽ハイグレードなコーヒーを低価格で、プロントで使用しているコーヒー豆は、コーヒー鑑定士(クラシフィカドール)の審査をパスしたハイグレードの生豆のみを用いており、一六〇円~二〇〇円という低価格。
夜の特徴は、ゆったりとくつろぐためのフルサービス‐日中慌しく活動していたビジネスマンやOLも、夕方からは落ち着いた雰囲気の中で、夕方からは照明を落とし、ユニフォームもシックに変え、そして、フルサービスとなっている。
▽豊富で本物志向のメニュー、酒類はサントリーのほぼ全商品がメニューの対象に、しかも水はミネラルウオーター、氷はカチ割りを使用。
プロの職人不要‐特にプロのコックやバーテンダー不足であるが、同店は不要、加工済食材が各店にデリバリーされ、酒類もマルチデスペンサーにより、プロ不要である。