フランス料理はソースが決めて 色も多彩、変化に富む

1992.05.04 3号 16面

「フランス料理はソースが決め手」といわれている。白・茶・赤・黄と色も多彩で、また温かいもの、冷たいもの、と変化に富むソースは、料理の引き立て役としての役割は大きい。フランス料理では、主役である料理とわき役であるソースの調和がとれていないと、見てきれいで、食べておいしい料理には決してならない。料理を生かすも殺すもソース次第。それだけにフランス料理のソースの数は非常に多い。しかし、それらは、ごくわずかな基本ソースを幹として、そこからたくさんに枝分かれしたものである。従ってソース作りは、まず基本ソースのマスターから出発しなければならない。一方、だし汁なしにソースを語ることはできない。多くのソースは、子牛の肉や鶏、魚を野菜とともに煮込んで作るさまざまなだし汁をベースにして作られ、その善し悪しが、ソースの味を左右する。ソース作りにおけるだし汁は重要な存在である。昨今のフランス料理は変化し続けている。それにともない、いくつかのソースやだし汁の作り方や扱い方も変わってきた。最近では、料理の仕上がりを軽くすることが強調され、多く小麦粉を用いる伝統的なソースは、“重たい”という理由で嫌われ、レストランの厨房から消えつつある。その代わり、十分に煮つめたり、生クリームを加えて煮たりして濃度をつけるようになっている。この方法だと、さらりと軽く仕上がって食べやすく、腹にもたれない。現代の人びとの口に合う。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら