鍋特集 カラオケとベストマッチ 話題性で団体集客
年末年始の宴会シーズン到来で、鍋市場が活気を帯びている。話題性さえあれば即、団体客集客に結びつくため、各飲食店はアイデア創出に躍起だ。例年、世間を賑わせる流行的な変わり鍋は、いまのところないものの、鍋需要を広げるための食シーン提案は今年も盛んである。
和食店の郷土鍋と地酒のセット提案は依然好調で、日本酒の女性ユーザー層拡大に拍車をかけている。和系居酒屋チェーンでは従来の鍋アイテムに加え一人前のミニ鍋がすっかり定着し、少量多頻度に対応する新たな鍋料理イメージを創出した。
一方、洋系レストランでも「世界鍋」「西洋鍋」と銘打った冬季キャンペーンが定番化、ファン層を着実に増やしている。そんな海外鍋のなかで急激に勢力を伸ばしているのがエスニック鍋。とりわけ韓国のチゲ鍋は和系鍋に迫る勢いで支持層を拡大、「ミニ鍋アイテムのなかでチゲ鍋がトップセールスを記録する居酒屋チェーンは増える一方」(業務用卸)と言う。
こうした活気を追い風に、鍋シーンの提案方法にも新手が次々に現れている。なかでも注目したいのはカラオケボックスの提案する鍋料理。
「カラオケボックス業界はすでにディスカウント競争に突入。料理を充実させるなどして他店と差別化、また料理で利益を確保しなければならない」と指摘するのは、カラオケボックスと飲食店の複合店経営を手掛ける(株)BBCの企画課長・竹内義明氏。
「鍋料理は団体客をターゲットとするカラオケボックスの料理にベストマッチする」として、しゃぶしゃぶ、カニ鍋、寄せ鍋、白子鍋などとカラオケボックスをパックしたユニークな宴会コースを、同社が展開するカラオケボックス「江戸前寿ぷらっしゅ」「和処からおけ銀座すぷらっしゅ」で実施中。
「カラオケボックスが鍋料理を提供するのではなく、鍋料理屋がカラオケボックス付きの個室を提供する感覚」と言う。カラオケボックスと鍋料理。新提案の評判は上々で、今期の宴会予約もほぼ満杯。
これからの鍋のキーワードは「鍋シーンの提案力」。鍋そのものよりも、鍋をいかに楽しませるか、ということが重要と言えるだろう。今回はそんなテーマのヒントになりそうな鍋料理店を紹介する。質実剛健な本格鍋からユニークな宅配鍋まで、いま鍋市場が最も熱く見逃せない時期だ。