第一線で活躍する女性シェフ 七尾・七尾かつ子さん 家庭の味守る
オープンして一二年、スタートが遅いから一生懸命やるしかないと体当たりであたってきた七尾かつ子店主。気持ちはいつまでも「慣れたくない」と相変わらず忙しいスケジュールをこなす日々だ。
新宿の文化服装学院卒業後、アイドルグループ・キャンディーズのスタイリストを務めていたころ、たまたま友達の喫茶店を手伝ったことが縁となり、この道に入る。友達と共同で喫茶店経営を五年間やった後、食べもの屋をやりたく自ら皿洗い修業をし、現在の店を出店する。
ところが頼みの板前が一ヵ月ほどで辞め、引くに引けず本を読みあさっての猛勉強。また、朝は市場に買い出し、午後仕込み、夜は夜で日替わりメニューの献立作成の日々が続く。
懐石の季節感を出しながら、家庭料理のもつ温かさを感じさせる料理は、ひとつひとつ手間暇かけて作られ、この姿勢がいつか客の心をとらえていった。
「いつもこれで良いのかこれで良いのかの繰り返しでやってきたが、一生懸命やれば何とかなる」という自信となる。
現在、一三人の女性スタッフを抱えながら、全国どこでもうまいといわれる店に出掛け、これぞと思った店には皿洗いを願い出、味の秘訣を聞き出すほど。
懐石料理「七尾」東京都港区麻布十番一‐五‐一〇、03・3401・7770