地域ルポ お台場海浜公園(東京・港区) 都心のシーサイドレストラン街

1996.07.01 104号 8面

有明、お台場地区は東京都が臨海副都心と位置づけて開発事業を進めてきており、計画どおりに推移していれば、その主軸の街づくりとなる「世界都市博覧会」が、今年4月24日から八ヵ月間開催されるはずであった。

周知のとおり、これは鈴木都政から青島知事になって中止に追い込まれることになったが、しかし、最近になって青島知事は、開発事業は長期構想で推進していくと表明している。

開発事業にはオフィスビルや高層住宅、都市文化施設の建設などが計画されており、地域の発展は約束されているということになる。

お台場海浜公園地区にはすでに三三階建ての超高層マンションなど一〇棟が完成して、一三〇〇世帯、約四〇〇〇人が居住しているほか、幼稚園、小・中学校などの教育施設、スーパーマルエツ、イトーキ、サントリー、資生堂、鈴屋、住友商事、日商岩井、フジサンケイグループなどの大手企業も進出、また、お台場地区では3月に入ってホテル日航が営業を開始、年内にはホテルメリディアングランパシフィック東京も開業する予定だ。

世界博の中止、開発事業の見直しで活気を失っていた“副都心づくり”であったが、着々と街づくりは進行している。

この7月12日は「お台場海浜公園」と「お台場」の中間地点のビーチサイドに、セガ・エンタープライゼズのアミューズメント施設「東京ジョイポリス」や飲食、物販など五四店舗が展開する複合商業施設「DECKS TOKYO Beach」(デックス東京ビーチ)もオープンすることになっており、地域居住者の利便性がさらに高まるほか、レジャー客などの来街者も大幅に増加する見通しだ。

この三店は焼き肉レストランやレストランビル「12カ月」などを多店舗化する徳寿の経営。

和食とすしのHinaは、高級すし食べ放題で知られる「雛鮨」系の業態だが、その店名からして和食の枠にとらわれず“国際派”の日本料理を主張している。

和食七割、すし三割のメニュー構成だが、胡麻豆腐のキャビア添え、オイルサーディングアンチョビ風味揚げゴボウ添え、帆立てのタルタル黄身あん梅風味各八〇〇円、魚麺五色盛り、壺入り引上湯葉、アスパラガスのすり流し椀フォアグラ入り各一〇〇〇円など洋風のジャパニーズフーズも提供している。

サム・チョイズはハワイで知られたハワイアンレストランで、オーナーのサムチョイ氏と徳寿が業務提携しての東京出店。

フィッシャーメンズ・グリルも、サンフランシスコのシーフードレストランをそのままに取り入れた、リゾート感覚の明るくフランクなレストランで、新鮮なシーフードを売りものにしている。

客単価は三店ともに昼一五〇〇円、夜五〇〇〇円。

店舗面積はヒナ四五坪、サム・チョイズ七一坪、フィッシャーメンズ・グリル六五坪。

客席数ヒナ=店内五六席、テラス二八席、サム・チョイズ=店内七六席、テラス六〇席、フィッシャーメンズ・グリル=店内八〇席、テラス四八席。営業時間は基本的に午前11時30分~午後11時、無休。

つきじ植むらの経営。アメリカ・オレゴン州のポートアイランドに出店した店の日本版で、アメリカン・ジャパニーズ料理を主力商品にしている。

揚げ物コース一五〇〇円、お好みコース一八〇〇円、松花堂コース二〇〇〇円などのコース料理をはじめ、すし盛合せ一八〇〇円、ビーフ焼そば一〇〇〇円、京都大原野コンニャク刺身七〇〇円、大根餅の煮物和風七〇〇円、さばの煮込みパシフィックリムソース八五〇円、ハンバーグステーキトロピカル一二〇〇円、サーモンステーキ梅ソース一五〇〇円、地鶏ステーキわさびソース一五〇〇円、ビーフシチューハワイアン一五〇〇円などが人気メニュー。

店舗面積六七坪、客席数店内九五席、個室二四席、テラス五二席。客単価昼一五〇〇円、夜四〇〇〇円、月商二〇〇〇万円以上。

営業時間午前11時~午後10時、無休。

JAZZBARとオープンキッチンのカジュアル・ディナーレストランの二つの空間を展開する。

メニューはフランス、イタリアのクッキングスタイルを基本にしながら、旬の食材にこだわって、しかもヘルシーさとライト感覚をアピールしている。

人気メニューは殻付きムール貝の薪釜焼きホットガーリックソース二〇〇〇円、温かいシーフードサラダ、紫花豆、ポテト添え、ガーリック、オリーブオイルソース二〇〇〇円、やりイカのピッツァ、フィッ→

こういったプラス要因を背景に、「サンセットビーチレストラン街」も、さらに集客力が期待できるということになるわけだが、しかし、同レストラン街には専用の駐車場がないこと、「ゆりかもめ」の輸送能力が小さいので、すでにターミナルの新橋では土・日などには、「ビッグサイト」でのイベント客や、ワンザ有明の「東京ファッションタウン」などの来街者とバッティングして大混雑を起こしているので、アクセスの悪さが大きく指摘されている。

「有明で大きなイベントがあるときなどは、新橋では一時間待ちといいますから、お客さんにとってはお台場にくるのは大変じゃないでしょうか。それにゆりかもめの運賃も高いですし、家族連れなどでくると大変です。現在のところはほとんど一見客、観光地的な利用ということですね……」(サンセットビーチレストラン街のある店長)

ゆりかもめの新橋‐お台場間の乗車料金は片道三〇〇円、終点有明まで同三六〇円。乗車時間は一〇分だが、運賃面では日常性はない。

しかし、東京でも珍しいシーサイドレストラン街の出現なので、来街者は多く、二〇、三〇代のカップルを主体に、各店ともに予想以上の集客数をみせている。

平日の昼間は地域のオフィスワーカーやイベント帰りの客、夜はレジャー客や都心からの来街者が主体になる。

共通していることは平日の客数を一とすれば、土・日は三倍の来店数で、昼ごろから夜の7、8時まで客の切れ目がない。

“観光地レストラン街”として、大きく集客に成功しているということだが、周辺の建設中の施設が完成すれば、さらに客数は増える見通しだ。

七店舗初年度の売上げは計一五億円を設定しているが、これは大幅に上回るものと予想される。

→シュバジリとアイオリ一五〇〇円、旬の魚のボアレ、ドライトマト、ケッパー、オリーブソース二八〇〇円など。

アルコールはカリフォルニア、イタリア、フランスのワインほか、一〇〇種以上のカクテル、ウイスキー、ブランデーなどを提供。

ジャズは毎晩生演奏。お台場のビーチサイドで、外国の雰囲気をエンジョイできるという趣向だ。

客単価昼二五〇〇円、夜五〇〇〇円。店舗面積九〇坪。客席数はレストラン六八席、バー五九席、テラス四〇席。営業時間午前11時30分~午後11時、無休。

昨年10月に設立した(株)スティルフーズ(本社/東京・新宿)の経営。昨年12月、西新宿の超高層複合ビル「新宿アイランド・イッツ」に南仏料理「プロヴァンス」を出店したのに続いての、同時二店舗出店。

ブルスケッタはピザ、スパゲティが主力メニューで、とくにピザはイタリア人の専門のクッカーが焼く、本場の味わいを売りものにしている。

店舗面積七〇坪、客席数店内九〇席、テラス六〇席。客単価昼一五〇〇円、夜四〇〇〇円だが、売上げは目標数値より一五〇%増、客数三〇%増という好調ぶりにある。月商二〇〇〇万円以上(推計)。

営業時間平日・休日午前11時~午後11時、週末午前11時~翌朝5時、無休。

マーゴはビーチレストラン街唯一の専用バー。店舗面積二六坪。客席はカウンターとテーブル席四〇席、テラス一六席。

カクテルを主体にラム、リキュール、モルトウイスキー、バーボン、スピリッツ類を揃えている。カクテルは評判で五割以上のオーダー。約五〇種が定番だが、リクエストに応じてはどんなものでも提供できる。

客単価一〇〇〇~二〇〇〇円。月商五〇〇~六〇〇万円。営業時間平日は午後6時~翌朝5時、休日は午後4時~同11時、無休。

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