カレー特集:女性客が支持するガーリックカレー、創作家庭料理「青山アクバル」

1998.06.01 153号 6面

イタメシブームで火がついたイカスミは、スパゲティに始まりパン、ギョウザ、カレーなどへと広がり、すっかり定着した感がある。かつてこのイカスミを他店に先駆けカレーに取り入れ「イカスミカレー」をメニュー化したのが「青山アクバル」。

「イカスミカレーとしてメニューにのせて以来、大好評で、うちの看板メニューの一つになりました」という木下京子店主。カレー専門店から創作家庭料理に業態転換した現在も、イカスミカレーを食べたいというフアン客が多く、外されることなく今なお健在。店主自身まさかここまで反響を得るとは予想しなかったようだ。

この店は、インド人コックが作る本格的カレーの専門店として一五年前にオープン。

「本場のカレーを子供連れの家族でもおいしく食べて欲しい」と辛さを五段階に分けたり、体のことを考え、添加物を使わず自然のスパイスを使うなど細かい配慮をしながら店独自の味を訴求する。

一般的にはサフラン、タンドリーチキンなど色粉を使う傾向にあり「鮮やかさに欠けるのか、なかなか理解してもらえない」という悩みもあるようだ。

開店当初、伝統的インドカレー一筋だったが「夜の集客には弱い。楽しさを演出したい」と話題性を加味した新カレーを模索する。

イカの墨づくりをヒントに

本場インドでは、赤のトマト、黄の豆、茶の玉ネギ、緑のホウレンソウと四色のカレーがある。

「ここにほかの色を加えてみたい」と登場したのが黒いイカスミカレー。カレー大好き人間の大浜詩郎マネジャーによる発案だ。故郷である石川県の隣り、富山県の名物「イカの墨づくり」をヒントにしたという。

インド人コックの強力な反対はあったが、日本人の味覚にはピッタリとオンメニュー。結果は大評判。自信を深め、この後次々と「ガーリックカレー」「とんぶりときのこのカレー」をデビューさせヒットを得る。

特にガーリックカレーは何回もメニューから外すが、そのたびに女性客から不満の声が出、再びメニューにのせるほど。

「なぜか女性はニンニクが好きなんですね」と笑う木下店主。

家庭料理で夜の集客を狙う

ヒットの背景には、味の決め手となる基本のカレーソースがある。一つに、トマトにカシューナッツ、生クリームを加えたコクのあるトマトバターカレーソース。もう一つに玉ネギを油で揚げ、ガラムマサラなどを入れ煮込んだスパイシーなオニオングレービーソース。これらインド人コック直伝のソースをメニューにより使い分け、独自の味を出している。

元祖イカスミカレーは、トマトとワインに炒めたニンニク、アーモンドオイル、イカスミを加えて煮たイカスミソースと基本の二つのカレーソースを配合し加えたもの。これにスライスしたイカをガーリックオイル、タカノツメ、ブランデーで軽く炒めて合わせる。

業態転換した現在、以前から人気のカレーメニューのほか、アシタバやヒジキなど産地直送品を使った体にやさしい創作家庭料理に、以前ナンを焼いていた釜を使い合鴨の網焼き、カツオのたたきなどを新メニューとしてのせ、「夜の集客につなげていきたい」と期待する。

<店名>創作家庭料理「青山アクバル」

<創業>昭和59年12月

<所在地>東京都港区六本木七-八-五、ロック&ロックビル一階、電話03・3479・6833

<営業時間>午前11時30分~午後3時、午後5時~午前3時、日休み

<店舗面積・席数>一八坪・二五席

<従業員数>四人

<客単価>二〇〇〇~二五〇〇円

<一日来店客数>約六〇人

<客層>三〇~五〇代の男性、二〇~三〇代のOLが中心。男女の比率は六対四

<目標月商>約三〇〇万円

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