まかない味シュラン(28)トゥーランドット游仙境
オープンして二年目。横浜の港を満喫しながらゆったり食事が楽しめる場所として、今や横浜新名所にもなった「トゥーランドット游仙境」。伝統と創作を織り交ぜ、体にやさしい脇屋流ヌーベルキュイジーヌは、昼間は買い物ついでに立ち寄る主婦やOL、夜は会社関係、カップルなど幅広い層に支持され、しっかり定着してきている。
厨房スタッフ二五人で総勢五〇人分のまかない食を作る。一日二回、午前11時前後と午後4時前後、新人と一〇年選手が一緒になって、三班に分かれ腕を競うことになる。
新人にとって、先輩と仕事をすることでコミュニケーションをはかると同時に、唯一、日ごろの腕を披露する場でもある。
「大量に作ることで分量をさばく勘を養って欲しい。原価まではじき出せるようになればオンの字。いつかは一本立ちして欲しい気持ちで見守っています」と脇屋料理長。
かつて修業時代、一年たったころからまかないをやらされ、中国人シェフの作る料理を盗み見し、日本の食材に置き換えては、なるべく近い味になるように創意工夫を凝らすのが常だった。
「まずはオヤジの無言の評価がいちばん気になりました。それに先輩や同僚がおいしそうに食べ、お代わりをされるのが無上の喜びでしたね」
こうした積み重ねが励みになり、自信につながったことはいうまでもない。
「今の私は最後の味をチェックするだけ。ここに至る創意工夫、段取りは結果を見ればわかります。きょうは寒い日に合わせ、時間がずれてもみんながおいしく食べられるように土鍋を使ったシンプルな一品が添えられている。トータル七〇点といったところでしょうか」
少々辛めの採点。まかないの場は新人たちにとり、昔のオヤジに代わる料理長の評に一喜一憂する場ではあるが、何よりもみんなで生活の話、仕事の話、遊びの話を語らう楽しい場でもある。
◎ピリカラ豆腐の煮込み
■作り方 牛肉のバラ肉・スジ肉の残りをニンニク、ショウガ、ネギ、豆板醤で炒め、水切り豆腐、紹興酒、醤油、スープを入れて煮込む。ボイルしたワケギを添え、仕上げにごま油、粉サンショを振る。
◎春雨と醤油漬け肉の卵とじ煮込み
■作り方 薄くスライスした肉をショウガで炒め、紹興酒とスープを加え、もどした春雨を入れ煮込む。塩、コショウ、唐辛子、ネギ油で味を調え、焼いた長ネギを加え卵を流し込む。
◎ハクサイのスープ
■作り方 白菜を丸ごと一個ボイルし、芯の八ヵ所ぐらいに切れ目を入れ土鍋に。干しエビ、ザーサイ、干し貝柱を炒め、紹興酒、スープを入れ一煮立ちさせ土鍋に入れる。