凸版印刷、来年から紙製飲料缶「カートカン」発売 常温で長期保存も
凸版印刷(株)(東京都千代田区、03・3835・5630)は、業界で初めて常温で長期保存が可能な紙製飲料缶「カートカン」の販売を来年1月から開始する。ほぼすべてが紙でできていながら、金属缶と同じ形状で、自販機販売にも対応。さらに可燃物として処理でき廃棄性に優れている。また容器・充填コストの面でも「従来の飲料缶と同等」という。同社では成形無菌充填機もあわせて販売していく予定で、初年度三〇億円を見込んでいる。すでに数社の採用が決定しており、年初から「カートカン」入りの飲料が市場に登場してきそうだ。
「カートカン」は、フィンランドのユナイテッド・ペーパー・ミルズ社と、ドイツのヘラフ社が共同開発したもので、凸版印刷が日本および東南アジア数ヵ国の独占販売権と、その他東南アジア諸国における優先権を取得した。凸版印刷では販売に当たって内容物の保存性の向上や自販機販売に適応する強度を高めるため、独自の包装材料を組み合わせ、機能付加を行い、品質要求の厳しい日本市場向けに改良している。
このため紙製飲料缶「カートカン」は、内容物の保存性のために最小限のプラスチックフィルムを使用しているが、焼却処理が可能なもので、リサイクル適性にも優れている。
また無菌充填によって内容物を詰めるため、常温流通、長期保存ができる。また用途としては、果汁飲料など酸性食品、乳製品やコーヒー、烏龍茶、紅茶などの中性食品、アルコール飲料、つゆ、だし、たれ、ソース類など炭酸飲料以外の液体物に利用できる。
機能面では、金属を使用していないため、飲み口のシールをはずして容器のまま電子レンジで加熱もできる。また飲み口も他の飲料缶よりも大きく、固形物を含む飲料でも飲みやすくなっている。
同社では専用の成形無菌充填機(一システム四億三〇〇〇万円)をあわせて販売。ロールに巻き取られた状態から本体をつくり、上下のフタを取り付ける成形から、内容物の無菌充填、シール貼りまでを一貫して行う。同システムは、充填時まで成形をする必要がないため、空容器の運搬にかかるコストが軽減でき、また保管にも場所をとらないという利点もある。