ヘルシートーク:ピクサー・アニメーション・スタジオ ボブ・ピーターソンさん

2009.11.10 172号 05面
ピクサー・アニメーション・スタジオにて1994年からクリエイターとして活躍。12月5日公開の最新作『カールじいさんの空飛ぶ家』では共同監督、脚本、ストーリー、声優を務めている

ピクサー・アニメーション・スタジオにて1994年からクリエイターとして活躍。12月5日公開の最新作『カールじいさんの空飛ぶ家』では共同監督、脚本、ストーリー、声優を務めている

 78歳のカールじいさんが繰り広げるアドベンチャー(冒険)を描いたディズニー・ピクサー初の3D作品『カールじいさんの空飛ぶ家』で、共同監督・脚本などを務めるボブ・ピーターソンさん。ココロが元気になる感動作を生み出す原動力、健康の秘訣をうかがいましょ。

 ◆映画の主人公は78歳のおじいさん。元気なお年寄りは爽快でおもしろい!

 ピクサーのキャラクターというと、オモチャの人形やサンゴ礁にいる小魚、ゴミ回収ロボットなどを思い出されると思います。もうひとりの監督であるピート・ドクターと、「10作目となる今作の主役は、いままでにない、新しいタイプのキャラクターにしよう」と、一緒に考えて辿り着いたのが“人間”、しかも78歳の“じいさん”だったのです。

 私のおじいさんも、元気でおもしろい人でした。入れ歯を出し入れして、小さい私を笑わせてくれたり、素敵な思い出がたくさんあります。お年寄りは人生経験も豊富で、つらいことも楽しいこともまるごと体験しているからこそ、自分の考え方や生き方を伝える権利があるし、話してくれる人も多い。それがまた、爽快でおもしろいんですよね。

 ◆表現を最小限に抑え、最大限の感情を引き出す それが脚本の醍醐味!

 映画の冒頭に、主人公のカールと妻のエリーがだんだん成長し、愛のある日々を重ね、エリーが亡くなるまでを描いたシーンがあります。台詞は一切なく、音楽と映像だけのモンタージュで綴るシーンです。映画で一番感情が高まる場面というのは、得てして台詞が少なく、表情などで伝えているケースが多いんです。だからこそ私は、表現をどれだけ最小限に抑えて、最大限の感情を引き出せるかを、脚本を書く上でとても大切にしています。台詞をまくしたてるよりも、まるで自分のことのように感じ、観客が身を乗り出して観てくれる……そんな映画をつくりたいといつも思っているんです。

 当初、冒頭のモンタージュシーンは、カールとエリーが喧嘩をしながら年を重ねていくものだったのです。しかし、より魅力的なシーンになるよう、公開されるバージョンに変更したんですよ。

 ◆“冒険”は日常生活のささいな出来事 その積み重ねが人生になっていく

 みなさんの“冒険”や“夢”って何ですか?「冒険に行こう!」という言葉が劇中に出てきますが、“冒険”には2つの意味があるんです。ひとつは、遠くにある未開の地を探検すること、そしてもうひとつが、日常生活で起こった小さな出来事です。

 私は小さい頃から漫画やアニメーションが大好きで、こうして大きなフィールドで活動できていることがとてもうれしいんです。まさに夢の途中で、大冒険を繰り広げているところですね!

 そして日常の小さな冒険といえば、子どもを送り迎えする車内で、他愛もない話で笑いあったりすること。暮らしの中のささいなイベントこそが“冒険”であり、その積み重ねが人生になっていくことを、映画で感じてもらえればと思っています。皆さんの“冒険”を探しに、祖父母、ご両親、お子様とご家族でぜひ観ていただきたいですね。

 ◆グリルしたアスパラガスが大好物! ウオーキングで健康を維持したい

 来日してからいただいた日本料理には、栗やさつまいもなど季節の野菜が使われていてとても美味でした。マグロなどのおすしも好きで、毎日食べてもいいほどです。私の住んでいるカリフォルニアにも、カリフォルニアロールがありますよ(笑)。

 野菜では、アスパラガスが好きですね。グリルして、バルサミコ酢を少し振りかけて食べると美味しいんです。食事ではなるべく野菜やサラダを摂るようにしていますが、普段の食生活はあまり健康的とはいえないかもしれません。ですので、2010年の抱負は「もっと野菜を食べること」にしたいと思います。

 ピクサーにも素晴らしいカフェがあり、健康的で美味しい食事が提供されています。それから、時間がある時はランニングマシーンを使って身体を動かしていますよ。私のおじいさんは80歳を超えても毎日1時間半くらいウオーキングしていました。そのおかげでいつも元気で、病気知らずでした。歩くって大事ですよね。私も、ウオーキングやランニングなどでさらに身体を動かしたいと思います。次回、皆さんにお会いする時は、もっとスリムになっているはずですよ(笑)。

 ◆プロフィール

 ピクサー・アニメーション・スタジオにて1994年からクリエイターとして活躍。2001年の『モンスターズ・インク』ではストーリー・スーパーバイザーを、アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した2003年の『ファインディング・ニモ』では共同脚本を担当。12月5日公開の最新作『カールじいさんの空飛ぶ家』では共同監督、脚本、ストーリー、声優を務めている。

 ○「カールじいさんの空飛ぶ家」

 「愛する妻が死にました だから私は旅に出ます」–冒険好きのカールとエリーは、10歳で出会い、19歳で愛を誓い、70歳を超えるまで愛に満ちた毎日を過ごしていた。最愛のエリーを病で亡くし、思い出の詰まった小さな家にひとり暮らすカールじいさん。大切な家を奪われそうになったある日、少年時代に交わしたふたりの夢を叶えようと、冒険の旅に出ることにした。何万個もの風船をつけ、空高く舞い上がるマイホーム。冒険の先に待ち受けているものは……。

 (C)DISNEY/PIXAR 12月5日(土)より全国ロードショー

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