だから素敵! あの人のヘルシートーク:タレント・王理恵さん

2007.08.10 145号 3面

タレントの王理恵さんは、「野菜のソムリエ」(ジュニアベジタブル&フルーツマイスター)資格を持ち、青果物健康推進委員会でベジフルティーチャーとしても活躍している。日本中が心配した父、王貞治さんの昨年の入院手術からの大復活にも、実は理恵さんの影の応援があったようで…。お話を伺おう。

食はトータルで考えなければいけないですが、その中で野菜と果物は健康な人ほど見落としがちな気がします。私もそうだったんですが、若くて体力のあるうちは、そんなに「野菜を食べなきゃ!」という意識もないものです。「好きなお肉を食べていれば元気になれる!」という感じで。何を食べているかが身体に現れるのはすぐではなく、何年もしてからだったりします。本当は健康なうちに気をつけたい。急に気をつけようと思っても無理ですし、身体も急には変わらない。若い時に少しずつ、毎日気をつけていれば、病気も防げるのではないかと思います。

一番ポイントを置いているのは朝です。ニンジンとホウレン草の手作りジュースを必ず飲みます。日中、仕事で外へ出てしまうと、何を食べるか選べないことが多い。「1日野菜350g・果物200g」の目標を達成するためには、朝とっておかないとまず無理だと思います。野菜・果物の摂取量が気をつけないと足りなくなる現状ならば、自分でコントロールできる時間にとってしまうのがいい。

身体のリズムを考えても午前中はデトックスの時間、消化よりも排せつにエネルギーを使いたいです。消化にあまり負担のかからない野菜・果物はその意味でもベストです。

特に旬の野菜が好きです。冬に夏の野菜を食べると冷えることもあって、それを気をつけるようになってからかな。いまは夏野菜、レタスにキュウリ。トマトは絶対毎日1個は食べます。冷蔵庫にある野菜をダメにするのがイヤなんで、そういう時はラタトゥイユ。トマトをベースに何でも入れちゃいます。トマトに限らず、味噌汁とかスープ全般は残り野菜を全部使えて栄養素が丸ごととれるので、よく作ります。

枝豆も大好き、こちらもほとんど毎日食べます。「とりあえず枝豆」という言葉が嫌いで。「ああ、そんなものじゃないぞ! 枝豆」ってね(笑)。ゆでる時は熱湯グラグラ、塩を入れて、それから片時も離れません。時間ですか? 品物次第ですから。でも基本、一応4分ぐらいで食べてみます…。ゆですぎるとすごくイヤな気分になる。ゆであげたら広げて冷まします。ウチワ、扇風機は使いません!

けれどおいしさは好みの問題ですから、これはもちろん私流。正解はないです。それを自分で見つけるのが、一番大事なことなのかなって思います。だから外のお店で枝豆は頼まないんです。だっていいと思うのに一つも出合わないんですよ(笑)。

父(福岡ソフトバンクホークス監督の王貞治氏)が昨年、胃を手術で全摘して繊維質をあまり食べないように言われてしまったんです。でも野菜・果物は私たちが生きていく上で代謝などさまざまな機能上、不可欠なもの。それをとれないとなると…と思い、頑張りました。例えばホウレン草だったら、細かくペースト状にしてカレーに入れたり。

親孝行、できたようですね。初めて感謝されました。直接は聞いてないのですが、「いてくれて助かった…」というような言葉を周りの方から聞いて。それが奏功したのか、術後半年ぐらいからお寿司は食べるしビールは飲むし、こちらが驚いてしまいます(笑)。いまも東京にいる時は、私と同じジュースや野菜スープを作って、飲んでもらってます。

「野菜のソムリエ」資格を取得したのは4年前。キッカケは母です。母も胃がんで、手術で取ったのは4分の3ぐらいだったので最初は結構食べていたのですが、亡くなる3ヵ月ぐらい前からほとんど物が食べられなくなって。そうなると目に見えるように体力と気力が衰えていきました。病院ではカロリーはとっているから大丈夫と言われましたが、これはそういう問題ではないと。食べていた頃は、「治ったらあそこに行きたい、誰々に会いたい」とノートに書いていたのに、それもしなくなって。食べることは人間の健康だけではなくて気力もつくる。なんて大事なんだろうと。

母が亡くなった失意の中、たまたま雑誌でこの資格を見つけて、「ああ、これだ」と。自分の健康もそうだけれど、父やほかの家族、友だち、1日でも長く元気でごはんを食べられるよういてほしい、そのためには知識を得たいと強く思いました。

小さい頃のことを思い出すとウチはやはり特殊な家で、父がナイターが終わって家に戻るのは深夜。私が小学生の時は現役選手でしたから、家族で食卓を囲むという機会はそんなになかったです。でもたまにあるそんな機会に絶対してたのが鍋。ダイニングテーブルの真ん中に、はめ込み式のコンロがあったんですね。みんなで食卓を囲む時はここで鍋!、母のそんな思いがテーブルの造りになったんでしょう。

鍋にはもちろん野菜たっぷり。豚肉と白菜とが定番で。夏も鍋、夏野菜でね。ウチにとっては鍋が家族のコミュニケーションの形だったんですね。

行ったことはないですが、私は国籍が中国です。話に聞くと中国のお母さんはホームドクター的な要素があるそうで。日本のお母さんはよく、子どもに「今日、何食べたい?」と聞くけれど、向こうのお母さんは子どもやダンナさんの顔色や体調を見て、何を作るか考えるのだそうです。いい習慣ですね。

日本でももう少し、家で家族みんながごはんを食べる時間が増えるといいなと思います。

◆プロフィール

おう・りえ 1970年、東京都生まれ。スポーツキャスター業のほか、2003年、ジュニアベジタブル&フルーツマイスター(通称「野菜のソムリエ」)を取得しベジフルティーチャーとして活動。雑穀エキスパート、富山県入善町食育大使、秋田県ベジフル大使、千葉県野田市えだまめ親善大使などさまざまな食の場面で活躍中。ラジオではRKB福岡「王理恵のスローな気分で」に出演中。

○旬の国産野菜や果物が勢ぞろいするイベント

「日本全国野菜・くだものフェア2007」が、9月8日(土)~9日(日)、東京国際フォーラムにて開催(入場無料)。

9日には、イベントステージに王理恵さんが登場するので、興味を持った人はぜひ訪れてみて。

詳しい情報は http://www.vf7.jp/

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