りんごのポリフェノール「プロシアニジン」 脂肪蓄積を抑える

2006.12.10 137号 2面

今年もおいしいりんごの収穫が最盛期を迎えている。りんごには「プロシアニジン」というポリフェノールが含まれており、その成分が体内での脂肪蓄積を抑える働きをもつことから、メタボリックシンドローム対策としても期待が高まっている。

プロシアニジンの研究を行っている弘前大学農学生命科学部の長田恭一助教授は「りんごの渋味の元であるポリフェノールは、1個につき約200mg含まれている。なかでもプロシアニジンは茶カテキンと同等以上の強い抗酸化力をもち、体内のコレステロールを減らす作用があることを動物実験で確認した。有害な酸化脂質の吸収を抑え、動脈硬化になりにくい環境を作る。また肝臓のリノール酸不飽和化、つまり、アラキドン酸の増え過ぎを抑えることから、アトピーや炎症を防ぐ作用も期待される」と話す。

りんごのプロシアニジンは、まだ青い未熟果に多く含まれるため、青森では未熟果を搾った機能性ジュースを商品化するなど、プロシアニジンの活用拡大が検討されている。

「脂肪吸収抑制作用は、食後でなく食前に食べると成分が有効に働くので、“毎食前に半個ずつ、1日1個半食べる”のがおすすめ。ただ、りんごそのものは糖質も含むので、摂取カロリーをよく考慮してバランスよく取り入れましょう」(長田助教授)。

◆128歳! 日本一の古木りんご樹(青森県・柏村)

青森県にりんごが導入されたのは1875(明治8)年。柏村の古坂さん宅では、明治11年に植栽された128歳のりんご樹が健在だ。

幹まわり3m以上、長く張り出した枝は何本ものつっかい棒で支えられており、現在でも40箱(約0.8t)ほどの収穫をあげている。1960(昭和35)年、「日本一の古木りんご樹」として青森県天然記念物に指定された。

古坂さんは、毎年大晦日になるとこの樹にシメ縄を張り、御神酒を捧げ正月を迎えることにしていて、収穫されたりんごは、「長寿りんご」として、近隣の老人ホームなどに寄贈され、喜ばれている。

▽問い合わせ=柏村経済課 電話0173・25・2111

◆りんごトリビア

■りんごの表面に油を塗って売られているようだが、害はないの?

「油あがり」と呼ばれるこの現象は、りんごが熟するにつれリノール酸とオレイン酸が増え、皮に含まれるメリシン酸などの固形物質を溶かすことにより生じる現象。これらの物質に害はなく、むしろリノール酸やオレイン酸は不飽和脂肪酸と呼ばれる身体に必要な成分。「ジョナゴールド」や「つがる」などによくみられる。りんごがよく熟し食べ頃のしるしだ。

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