歩こうある考:足裏マッサージ効果も歩くだけで…

2004.09.10 110号 5面

ローカルな話で申し訳ないが、私が住む東京・世田谷の三軒茶屋周辺ではここ数年「足裏マッサージ」の店が目立つようになった。それは、ここだけの話ではなく、TVなどでも足裏マッサージはたびたび紹介されていて、一般に女性たちの間で流行っているようだ。

私の山の教室「イーシークラブ」の会員の中でも時々行かれる方が多い。腎臓や膀胱があまり丈夫でなく、疲れたり調子が悪いと足の内くるぶしの下が腫れるというある方は、それをマッサージしてもらうらしいのだが、その施術の先生が「普段の歩き方も気をつけた方が良い」と、歩き方を教えてくれたそうだ。「それが石井先生のお話と同じなの」とわざわざ話してくれたのだ。

健康作りの歩き方として、これまで説明してきたような歩き方をすると、下半身の関節や筋肉を十分に動かすことになる。そこで起きる筋肉の収縮や弛緩は、いわゆる筋肉ポンプ運動となり、下半身に停滞しやすい静脈血を上へ持ち上げ、心臓へ戻す重要な運動になる。さらに大きめの歩幅で踵からついてつま先で蹴るように前進する歩き方は、土踏まずの伸縮運動を起こし、それが足裏マッサージの血液循環効果と同じ効果を生むので、正しく歩くだけで体調を整えることができるというのだ。

トレーニングというのは、一定の時間内で行われ一日中続けられるものではないが、その要素の中には、普段から意識していたほうが良いものがいくつかある。

例えば姿勢や足の運び。トレーニング時はまっすぐ伸びていても、終わったとたん猫背になり、足を引きずって歩くようでは何にもならない。心肺機能を高めるための負荷的な運動となるスピードについては、トレーニング時間内で行えば良いが、姿勢や足の運びは日常生活の中に取り入れ、習慣にしてしまおう。

もう一度このコラムのバックナンバーを読み返して、正しい姿勢と方法を確認し明るく颯爽と歩いてみよう。外から美しく見えれば、必ず内側でも良いことが起こっている。血液の循環も良くなり、知らず知らずに体調が良くなるに違いない。

((社)日本山岳ガイド協会認定ガイド 石井明彦)

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