気になる話題:江上栄子・江上料理学院院長が農事功労章を受章
うちの食卓に、チーズやワインが登場するようになったのは、いつごろからだったろう? 日本の家庭料理に、フランス食文化を取り入れたなど、長年にわたる普及活動が認められ、江上料理学院(東京都新宿区、電話03・3269・0281)の江上栄子院長が、4月16日、フランス政府から農事功労章を受章した。
東京のホテルメトロポリタン・エドモントで開催された「受章を祝う会」には、元皇族の島津貴子さんや海部俊樹元首相をはじめ、料理家・教育者・食品業界関係者ら七〇〇人近くがお祝いに駆けつけた。
ベルナール・ド・モンフェラン仏全権大使による授章式のあと、江上院長は「かつて食材が自由に手に入らない時代には、オリーブの実の代わりに青い小梅を、トリュフの代わりに水前寺海苔を使ったもの。葛を練って小さく丸めたものを、タピオカに見立ててプリンに入れ、『これがフランスの味』と、想像しながら作ったり。本日の受章の栄誉は、母である江上トミはじめ、活動を共にしてきた皆を代表して、頂いたものと思っている。今後も、フレンチテイストを上手に取り入れ、日本の家庭がより健康に、豊かになるよう努めたい」と喜びを語った。
当日は、パリの料理学校以来の友人というシャンソン歌手の石井好子さん、アートフラワー創始者で九九歳の飯田深雪さんらが、ユーモアたっぷりに、とうとうたる祝辞を述べた。
江上氏は、佐賀県有田焼の窯元・香蘭社の深川家出身。青山学院大学卒。パリ・コルドンブルー料理学校で学び、世界六〇カ国余で研鑚を積み、今年創立六〇周年を迎える江上料理学院で家庭料理の普及に努めた。現在はコンサルタントや講演など幅広く活躍。日本におけるフランスチーズ鑑評騎士の会上級会員。