花粉症は予防が一番、「衛気」を養い身体にバリアを張りめぐらそう!
スギ花粉の季節まであと二カ月。花粉症体質の人には、「最悪。もうクシャミ・鼻水、目のかゆみで何も手につかない」という年と、「今年はなんだか過ごしやすい。良かったぁ」という年があるはず。それには花粉の飛散量以外に個人の体調や体質が関係している。
中国漢方では、この違いを外敵から身体を守る力「衛気」(えき)の強弱によると考えている。ウイルスや細菌、花粉などの「外邪」(身体に侵入して害を与える存在)を防御してくれるボディーガードのようなもの。「衛気」は皮膚などの体表面、外界とつながっている鼻や口、そこから続く肺や腸などの粘膜を駆けめぐっている。「衛気」を充実させ巡らせることによって、皮膚や粘膜が強化され風邪や花粉症の予防につながるのだ。
「衛気」は日常生活の中で自然とつくられるものだから、生活が不摂生であると不足がちになってしまう。
(1)睡眠が不足
(2)食生活が偏ったり食べ過ぎで「衛気」の原料である栄養が不足
(3)疲労やストレスで「衛気」を消耗してしまう
(4)運動不足で気のめぐりが悪くなっている
花粉症がひどかった年、思い出してみるとその前の季節からそんな状況に陥っていた記憶がないだろうか。
花粉症だけでなく、いまの冬場の季節、風邪をひくことも「衛気」不足から起こる。そのことで呼吸器がダメージを受け、鼻や目の粘膜に十分な防護壁をつくれないと、春の花粉症の悪化につながる。
「衛気」を充実させ、防護壁をつくるにはひと月以上の期間が欲しい。花粉症対策はいますぐ始めたい。まず原因となる生活や食事の乱れを改善すること。それから「衛気」を補う生薬である「黄耆(おうぎ)」などを煎じて飲むと良い。
「黄耆」に加え、胃腸の働きを高める「白朮(びゃくじゅつ)」、風邪の侵入を防ぐ「防風」などの生薬からなる漢方処方「衛益顆粒」もお勧め。日本名は分かりやすく「衛気を益(ま)す」だが、中国名は「玉屏風散(ぎょくへいふうさん)」。確かに玉(ぎょく)の屏風なら強いバリアになってくれそうだ。
●取材協力=日本中医薬研究会(電話03・3273・8891)