百歳への招待「長寿の源」食材を追う:アセロラ

2001.09.10 73号 11面

小果とは低木になる小さな果実で、果肉は多汁なのが特徴。同類はスグリ類・コケモモ類など。ジュース・ジャム・ゼリー・薬酒などに加工される。加工適正大でいずれも味がよく成分的にも優れているものが多い。

(食品評論家・太木光一)

アセロラの原産地は西インド諸島からベネズエラ・ペルーなど南アメリカを含む熱帯アメリカで、現在ではブラジル・プエルトリコ・カリブ諸島をはじめ、フロリダやハワイが産地。果実は甘味系と酸味系の二種に分かれる。果肉は軟らかくピンクかクリーム色で三個の種子がついている。

アセロラはビタミンCを多く含み、その含有量は米国農務省の食品成分表によると、果汁一〇〇グラム当たり一六〇〇ミリグラム。ハワイ産のものになると二三〇〇ミリグラムと多くなる。日本産は鹿児島指宿試験所によると、一三〇〇ミリグラムという。しかし青い未熟の果実の場合は三〇〇〇ミリグラムを上回っている。

ビタミンCを多く含む食品のベスト一〇をみると、グアバ生果二七〇、グレープフルーツ濃縮果汁二三〇、パセリ二〇〇、ブロッコリー一六〇、芽キャベツ一五〇、温州みかん濃縮果汁一五〇、なばな一二〇、にがうり一二〇、しいの実生一一〇、ホースラディッシュ一一〇ミリグラム(一〇〇グラム当たり)となる。我々が多いと認識しているものでも、レモン果汁九〇、イチゴ八〇ミリグラムだ。アセロラは食品の中でビタミンCの王者と呼ぶことができよう。ハワイ産と比較してもレモンの二六倍も多い。

日本の国民栄養所要量では、大人ひとり一日当たりのビタミンCは五〇ミリグラムと定められている。アセロラ一粒の重さは平均五グラムであり、一粒食べるだけで必要量を軽く上回る。ビタミンCが木になっているようなものだ。

中南部アメリカの原住民はアセロラを庭に植え、子供や老人の病気治療用に利用していた。薬用植物視していたのである。

驚異的なビタミンCを含有することに目をつけて、これを原料として栄養剤がつくられ、欧米では天然ビタミン剤として販売されている。次第に需要が高まり、アメリカの大手健康食品メーカーはカリブ海に浮かぶプエルトリコで広大なアセロラ農園を経営し、ビタミンCの供給基地としている。

ビタミンCの一日必要量は五〇ミリグラムで、それ以上は不要。とり過ぎても水溶性なので体外に排出される。心配は全くない。

最近の研究で、大量摂取はがんの予防に効果的、動脈硬化や胃潰瘍の治療にも良いといわれる。肝臓の解毒作用を助け、副腎の機能を促進し抵抗力をつけることも判明。美容面でもシミやソバカスの予防になる。アセロラは効果面で現代のスーパーフルーツである。

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